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【水彩紙の選び方】コスパ・レベルごとにおすすめの水彩紙をご紹介します!(前編)

こんにちは。管理人の河内です。

今回は水彩画にとってとても大切な紙について書いてみたいと思います。

どれほど大切かというと管理人の経験上、水彩道具の中で一番大切です。たぶん・・・

 

他の道具が大切でない訳ではありませんが、絵具、パレットなどはベテランの方が何かしらこだわりを持っていない限り、画材屋さんで売っているものであればほぼどれでも問題はないと思います。(100均は別)。

 

その次に重要なのが筆です。

これは少々選ばれた方が良いと思いますのでまた別の機会にご紹介するとして紙は本当に大切です。

 

しかしこれまた画材屋には国内、海外色んなメーカーから様々な種類が出ていますので、初心者の方や独学で絵を描いておられる方には迷いの種ですね。

 

そうしたことから水彩紙について紹介しているブログや本はすでにいろいろありますが、その多くがあくまで“この紙のどういう特徴があるか?”や“どんな表現にどの紙がむいているか?”について書いているものがほとんどですので、このブログではプラスして初心者の方から上級者までレベルに合わせた紙の選び方にも触れてみたいと思いますのでぜひご参考にしてみてください。。

 

 

 

目次

水彩紙とは?~画用紙とどこが違うの?

では初めに、ここでいう“水彩紙”と一般的な“画用紙”は何が違うのかを見ていきたいと思います。

 

水彩紙と画用紙の違い ①値段

まずは値段。これ大切ですよね(;^_^A

具体的なお値段はまちまちですが、少なくとも水彩紙と呼ばれるものは一般的な画用紙の3~4倍からお高いものでは10倍近くする、一枚がほとんど油絵のキャンバスと同じくらいの値段のものまであります。

 

ですのでもしあなたが画材屋さんにいってスケッチブックを買おうとして手に取ったものが、標準的なF6サイズとして1000~1500円前後ならば画用紙(鉛筆や色鉛筆向き)、3000円以上するものであれば水彩紙と考えてほぼ間違いありません。(パステル用などのことわりがあれば別ですが…)

 

もちろん値段が高ければ高いほど品質は良いわけですが、だからと言って必ずしも描き手の好みや求める表現、描き手のレベルに適しているわけではありません

 

なので水彩画をはじめようとして、まずは道具からということで一番良いものを揃えれば間違いないと考えている方はちょっとお待ちください。

 

 

 

水彩紙と画用紙の違い ②厚み

次に紙の厚さが違います。

水彩紙は画用紙に比べるとかなり厚いです。

それは、水彩画は沢山の水を使って描くため、それを吸収できるように厚みを持たせているのです。

 

紙は植物性繊維でできていますので水を含むと膨張しますよね。

それによって紙が波打ち、凸凹になったり皺が寄ったりして見た目的にも描き具合も悪くなりますのでそうしたことを防ぐために厚手になっているのです。

通常1㎡で~~グラムという表記がされていて、多くの高級水彩紙は300グラムあります。

300gの紙になるとある程度の水を吸っても波打ちしませんので、水張りをしなくてもそのまま描くことが出来ます。

※水貼りとは…紙が水を含んで膨張し波打たないようにあらかじめ水分を吸わせた状態で板などに張り付けておくこと)

 

水彩紙と画用紙の違い ③ドーサ引き

最後の大きな違いは、紙の表面にサイジング(サイズ)という処理が施されているということです。

これはにじみ止めのことで、膠(にかわ)と明礬(ミョウバン)の混合液を表面に塗ることで過度な滲みや吸い込みを得られるように調整しているのです。

高級水彩紙は少しにおいがしますがこれは膠のにおいです。

 

水彩紙とは?~形状

現在、画材屋さんで販売されている水彩紙は、ロールタイプ、シートタイプ、スケッチブックタイプなどがあります。

ロールはメートル単位での販売です。これを自分の好みの大きさにカットして使うわけですが、置いておく場所もとりますし、シートタイプもそれなりに大きさがありますのでこれらはどちらかというとプロ仕様ですね。

ですので一般的にはスケッチブックで買われることになると思います。

 

水彩紙~スケッチブックの種類

①ノートタイプ

一般的なタイプのスケッチブック。

束ねた紙の一辺をコイルなどで留めたもの。

 

②ブロックタイプ

紙の四辺をノリや蝋で固めたタイプ。

紙は水を多く含むと伸びて波打ったり皺になったりしますのでそうならないように四辺を固めてあるのです。

水張りをいちいちしなくてもよいのでお勧めです。

一枚仕上げるごとに剥がして使います。

 

③シートタイプ

一定の大きさにカットした紙を数枚ごとにセットしてあるもの。

紙を選ぶ際、スケッチブックで一度にたくさん買うのではなくいろいろ試してみたいときに便利です。

 

④パットタイプ

一辺だけを糊付けしたタイプ。

一枚ずつ切り離して使うこともできます。

 

 

水彩紙~紙の目

紙の表面には凹凸が施されています。

一般的な種類は3つ。(紙の種類によっては2つ)

粗目(ラフ)中目(コールドプレス)細目(ホットプレス)があります。

 

これは大きな区分を示しているだけで、実際の粗さはメーカーや紙のシリーズによってかなり違いがあります。

“粗目”は凹凸が大きくザラつきが強いので、筆の表現の幅を生かした描き方に向いています。

水の含ませ具合や、筆先の使い方をいろいろ変えることでテクスチャを生かした表現が出来ます。

 

逆に“細目”は凹凸がなく表面がサラっとしているので緻密でシャープな表現に向いています。

細かなところまでしっかりと描写したい方に向いています。

 

“中目”はその中間。適度なザラつきがありいろんな表現が可能です。上記のように特別表現にこだわりがない場合や初心者の方は迷わず“中目”で行きましょう。(紙によっては、A水彩紙の中目が、B水彩紙の粗目ぐらい凹凸が強いという場合もあります)

 

 

水彩紙の原材料とその違いによる特徴

水彩紙の原材料には木材を原料としたウッドパルプ(木材繊維)とコットンパルプ(綿繊維)があります。

その他ケナフ、竹、麻などを原料にしたものもありますが、少数派なのでここでは上記2つに絞って解説していきます。

 

まずコットン製は発色が良く、吸い込みが強く柔らかなぼかしや滲み表現が得意です。

ドーサ引きの具合によって水のはじき方、吸い込む時間は紙によって違いがありますが塗った色がじわっと紙に沁み込んでいき、その後に別の色を上や隣に入れていくと程よく馴染んでいい感じに滲んでくれます。

なので水彩画らしい水彩画を描きたい方に向いています。

 

吸い込みが強いと色を重ねていっても下の色が溶け出さず、深い色味が出せる反面、後から色を取ったりすることが難しいということは修正が困難ということでもあります。

また紙によっては乾くと色が沈んで薄く感じたり白っぽく感じるものもあります。

 

 

反対にウッドパルプ製の紙は“リフティング”とも言いますが、一度塗った絵具も水を塗ってティッシュペーパーなどで吸い取ると色を抜くことが出来ます。

これは塗りすぎやはみだしなどの失敗を修正できるわけですから、初心者やまだ経験の浅い方には強い味方です。

 

その反面、色を何度も塗り重ねて色調を濃く深くしようとすると、先に置いた色が溶けだしてくるわけですからなかなか難しいといえます。

その際には水分量を多くし過ぎず、筆を寝かすようにして、何度も擦らないように注意しなければなりません。

このように一度塗った色が後から取れるか取れないかは一長一短となりますが、やはり初心者の方や経験の浅い方はウッドパルプで初める方が無難といえます。

 

製法の違いから、コットンの方が総じて高額ですのでコスト的にもウッドパルプ製の水彩紙を使ってたくさん描いて練習される方がよいと思います。


後編では具体的な水彩紙を取り上げ、選び方をご紹介していきたいと思います。⇒【【水彩紙の選び方】コスパ・レベルごとにお勧めの水彩紙をご紹介します!(後編)

 

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