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【油絵のオイルについて教えて!】油絵のオイルをすっきり分かりやすく解説します!

こんにちは。管理人の河内です。

今回は画材シリーズは第三弾めということになります。

前回までの【油絵具】【筆】に続いてこの記事では油絵に使う【オイル(油)の種類と選び方、使い方】について解説していきたいと思います。

 

これもまた初心者の方や独学者の方の頭を悩ますところですよね。

初心者に限らず結構なベテランさんでも意外としっかり知らないまま描き続けていらっしゃる方も多いのではないでしょうか?

管理人が運営する絵画教室でも何年も経験を積まれた方が習いにくることがあります。そのような方でもオイルについてはあまり気にしていなかったという方も少なくありません。

 

画材屋さんに行けば、棚には絵の具と一緒にオイル、溶剤類がずらりと並んでいます。

どれも同じような瓶に入っていて、すべて横文字表記ですし、どれがどれだかさっぱりで目が回るなんて方もいらっしゃると思います。

 

こうしたオイルについて管理人も、生徒さんに何度も説明するのですが、混乱したり頭の中でごちゃ混ぜになってしまうようです…(-_-;)

そこで今回は、最低限覚えてほしい事柄をご説明してみましたので、すっきりとしていただければと思います。

 

1)油絵のオイルは何のため?

まずは基本の基本である油絵とはそもそもどういう画材か?というところから話してみたいと思います。

 

水で溶いて描く水彩画に対して油で溶くから油絵、そんな感じでイメージされている方も多いのではないでしょうか?

 

これはある意味半分正解、半分はずれです。

 

ご存知のように水彩画は、絵具を薄めて色を塗るところから筆を洗うところまで“水”で行います。

一方油絵の場合、それを油(オイル)に置き換えてしまえばそれでよいと訳ではありません。

 

そもそもそれぞれの画材である油絵、水彩画、日本画、パステルなどを規定している(分けている)のは色の素である顔料を、何を使って紙やキャンバス(これらを支持体と言います)に定着させるかで決まっています。

つまり色の接着剤が何か?ということなんですね。

 

水彩画はアラビアゴムという水溶性のゴム、日本画は膠(にかわ)そして油絵は油(オイル)ということになります。

 

油絵で使われるオイルは“乾性油”と呼ばれる植物由来のオイルを使うのですが、これが空気と反応し、顔料を閉じ込めて固まる=色が定着するという訳です。

 

上記の半分はずれという油絵と水彩画との違いは、こうした色を定着させるオイルのほかに、筆を洗うオイル、絵具を薄めるオイル、出来上がった作品を保護するためのオイルなど目的別に様々なオイルを使い分けるというところにあるのです。

 

オイルを種類で分けると…

①絵を描くときに使うオイル

②筆を洗ったり掃除をするオイル

③作品の保護に使うオイル

 

の3つに分けられるということをまず覚えておいてください。

 

この記事ではこの3つの中で特にわかりにくい①の実際に描く際に使うオイルについて解説していきます。

②と③のオイルについては、後日その他の溶剤と合わせて解説しますのでそちらをお待ちください。

 

 

では一つずつ解説してみます。

 

①の“絵を描くときに使うオイル”にはさらに乾性油、揮発性油、樹脂の三つの種類に分けられます。

 

図で書くとこんな感じです。

 

Ⅰ乾性油 ― 乾性油とは、絵具をキャンバスに固着させる接着剤の役目を果たすオイルです。

これが空気(酸素)と反応して固まり、顔料を閉じ込めて色が定着されるわけです。

乾燥後もツヤ(光沢)があり、その堅牢さは何百年も前の西洋絵画が今でもわたしたちを楽しませていることから折り紙付きです。

トロみがあり乾燥が遅いのが特徴でリンシードオイル、ポピーオイルなど植物の種子から採られたオイルです。

 

Ⅱ揮発性油 ― その名の通り放っておくと空気中に揮発(蒸発)してしまうオイル。

サラサラして流動性があり絵具の乾燥を早めます。

絵具を薄く溶くのに用いますが、使いすぎるとツヤがなくこれ自体には固着力がないのでこれだけを使っていると、絵具のひび割れや剥落の危険があります。

松ヤニから採られるテレピン、石油から生成されるペトロ―ルがあります。

 

Ⅲ樹脂系オイル ― 絵の具の乾燥を早めたり光沢や透明感を出したりするのに用います。

天然樹脂であるダンマル、コーパル、マスチックなどと、化学合成されたアルキド樹脂があります。

 

 

2)で、結局どのオイルを買えばいいの?

実際描くときに細かくオイルの種類を変えるのはなかなか面倒ですよね。

そのために上記で示した乾性油、揮発性油、樹脂、さらに感想を早める乾燥剤をいい感じにブレンドしてくれたのが“ペインティングオイル”という訳です。(ペインティングオイルは商品名です)

 

初心者の方が初めに買う画箱セットには、このペインティングオイルとブラシクリーナーが入っています。

なので初心者の方はとりあえずこのペインティングオイルを使えば問題ありません。

が、ここでさらにもう一つ、追加で揮発性油であるテレピン(ホルベインでは英語読みのターペンタイン)を買うことをお勧めします。

 

その理由は、描く順序や技法の上からも広範囲に使えるからです。

 

例えばゴッホのように絵具をあまり混色しないとか、何層も塗り重ねず一気に描き切るタイプの人はこのオイルは必要ないかも知れません。

ゴッホ『アルルの跳ね橋』

ですが大半の方は、ある程度時間をかけて制作し、乾かしてはまた色を塗り重ねるという工程をとると思います。

その場合、乾性油が入っているペインティングオイルだけでは粘性が強く,乾きが遅いため上から絵の具を重ねるのに時間がかかりすぎたりするので、揮発性油を混ぜて粘度を調節したり乾燥を早めたりするのです。

また制作の初期段階で大まかに色を塗り広げるために絵の具を薄く溶いて一気に塗ったり、服や手についた絵の具を拭き取ったりするのにも使えます。

 

 

3)オイルはどのように使い分けるの?

正直申し上げるとオイルは絵を描く方それぞれが、表現したいものや製作段階によって随分変わってきますので一概には言えないのですが、使い方を誤ると、せっかく完成した作品が時間とともに剥がれたり、亀裂が入ったりすることにもつながりますので、ここではオーソドックスな描き方を念頭に《制作段階ごとのオイルの使い方》をご紹介してみたいと思います。

 

制作第一段階~下書き

まずはモチーフや構図を決めたら、キャンバスに鉛筆や木炭で下書き。

出来たら絵具を塗った時に消えないようにフィキサチーフで定着。

ここまでは大方の方が同じだと思います。

木炭による下描き

 

第2段階~着色

①描きだしは全体的に固有色にこだわらず、茶系の色でデッサンをするように明暗を大切にして、大まかに色を置いていきます。

この時に使うオイル…揮発性油(テレピン、ペトロ―ル)

 

下地などといいますが、単色の絵具をテレピンなどで薄く溶いて塗っていきましょう。

時間に余裕がある場合は、この時点で一度乾燥させます。

下地

 

 

②今度は固有色をそれぞれ置いていきます。

個々の描き込みや正確さよりも全体のバランスを見ながら大~中くらいの筆で。

荒描き段階

この時使うオイル … 揮発性油にペインティングオイルを混ぜていきます。

 

この後、乾燥⇒描き込みを繰り返し完成へと向かいますが、回を重ねるごとにペインティングオイルの比率を多くしていきます。

 

途中、乾燥した上から揮発性油で薄めた絵の具を薄く重ね、色に深みを出したり落ち着かせたりもします。(グレーズ技法またはグラッシ)

グレーズ(グラッシ)

 

 

 

最後はペインティングオイルにリンシードやポピーオイルなどの乾性油を混ぜても良いでしょう。

ただ、細かい描き込みをしたい方は、乾性油が多いと粘度が高くなって描きづらくなりますので、逆に薄め液である揮発性油を少し混ぜてサラサラにして使います。

 

完成。

 

完成後、数か月の時間をかけて絵具層の内部まで完全に乾燥させた後、保護用のニス(ワニス)を塗ります。

商品名ではクリスタルバニッシュ、タブローなどがあります。

これらはどれもツヤか出ますので、あまりテカテカした画面にしたくない場合は、つや消し用のものもあります。

 

 

ここまでをまとめますと・・・

はじめ…揮発性油(テレピン、ペトロ―ル)のみ⇒

中盤…揮発性油にペインティングオイルを混ぜる⇒徐々にペインティングオイルの比率を上げる⇒

後半…ペインティングオイルのみ⇒完成!⇒

保護用ニスを塗る。

制作工程としてはかなり駆け足で端折りましたが、大きな流れはこんな感じです。

4)初心者がやりがちなミス

 

ではここで初心者の方や独学の方ならではの陥りやすいオイルに関するミスをご紹介してみたいと思います。

 

①単純にオイルの種類を間違える。

制作初期段階では揮発性油を使って描くと書きましたが、それを途中段階でペインティングオイルにスライドさせていかなくてはいけません。

でも描くことに一生懸命になりすぎて、気が付くと最初から最後までテレピンで描いていたということもよくあります。

いつも目に入るところに2種類の瓶を並べて置いておくようにしましょう。

揮発性油は無色透明、ペインティングオイルは黄色味がかった色をしていますので色でも見分けられます(商品によっては透明な調合溶き油もあります)

 

また、覚えていても『面倒でついつい同じオイルのままで描き続けてしまう』ということもよくありますが、せっかく良い作品ができても後でひび割れたりしては元も子もありません。しっかり使い分けていきましょう。

 

 

②オイルの使い過ぎ

さらにありがちなのが、オイルの使い過ぎです。

これをやる人は、管理人の教室でも本当に多いです!

特に乾性油やそれが入ったペインティングオイルは乾くのが遅く、いつまでたってもドロドロのベタベタのままですのでこれでは制作は進みません。

 

管理人がいろんな方を見てきた経験上、その理由として考えられるのは上で書きましたように、制作の初期段階では揮発性油で絵の具を薄めて描きますので、その流れでペインティングオイルも多く入れてしまったり、小学生時代使った水彩絵の具の経験からその延長で油絵を考えてしまい、オイルも必要以上に使ってしまうようです。

 

まず油絵具には、それだけで十分絵が描けるほどのオイル(乾性油)が混ざっているということを覚えておいてください。

特に制作中盤以降、揮発性油からペインティングオイルに切り替わっていく時期には最小限にとどめましょう。

 

ではどれくらい混ぜるのが適切かというと、表現したい感じや筆の硬さによって違いますが豚毛の場合、チューブから出したままの固さより1,2割ほど柔らかくなれば十分だと思います。

 

軟毛筆の場合は、細部の描き込みをするときにはもう少しオイルを多めにしてかまいませんが、ペインティングオイルではなくサラサラになる揮発性油を使って粘度を調節しましょう。

 

何度指摘してもついつい絵具を薄め過ぎてしまうのは、ある意味癖になっているようで無意識にやってしまいがちですので注意しましょう。

5)オイルについて~まとめ

 

いかがでしたか?

筆と同様色んな種類があるオイルですが、少し整理できたでしょうか?

簡単にまとめますと、

①描画に必要な買うべきオイル…揮発性油(テレピン)、調合時油(=ペインティングオイル)

②使い方…描き出しはテレピンのみ。その後少しずつペインティングオイルを混ぜ、徐々にその比率を上げる。

③オイルの使いすぎに注意。

この記事では主に描画用のオイルについて説明してきました。

そのほかの溶剤、オイルについてはまた別の記事でご紹介したいと思います。

 

 

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コメント

    • 永井 美紀
    • 2019年 4月 09日

    オイルの使い過ぎ….。
    耳が痛いです。
    オイルはしっかり使わないとダメなのかと思ってました。
    絵の具自体に乾性油が入ってる。
    1割2割の柔らかさ。
    種類の違いも、しっかり頭に入れました。
    次回からは意識してみます^_^

      • piccolo2017
      • 2019年 4月 10日

      永井さんコメントありがとうございます(*^^)v
      オイルにはやはり使う意味がちゃんとあるのでそれに合わせて量を決めないとドロドロで描きずらいばかりになりますからねv

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