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【油絵具の選び方】油絵具を買う時の注意点を解説します!

こんにちは。管理人の河内です。
今回は初心者のための油絵具の選び方の続きです。
一回目を読んでいない方はそちらもどうぞ⇒【油絵具を買う時の注意点を解説します!】

では早速残りのポイントについてもご紹介していきましょう。

目次

油絵具選び方チェックポイント⑥ HUEって知ってる?

例えば画材店の絵の具売り場の棚に、バーミリオンとバーミリオン(HUE)が並んで売られているのを見たことはないでしょうか?というかお気づきだったでしょうか?
この“HUE”とは、いったいどういう意味があるのでしょうか?

皆さん油絵具の色にHUE“ヒューと読みます”というのが書いてある色があるのをご存知ですか?
実は今回の記事で一番お伝えしたかったのがこれなんです。

実は簡単に言うとHUEがあるとないとではその成分が全く違い、絵の具の値段に相当な差があるのです!

絵の具が色によって値段が違うことは前回のポイント⑤で書きましたが、実は同じ名前の色でも違うということなのです。

この“HUE”が付くタイプの絵の具はもともと“HUE”が付かない名前で売られていますが、これらは高額な絵の具に限られています。

管理人が浪人生ぐらいの時までは、高価な絵具の廉価版としてクローム・イエローとかクローム・グリーンと言った名前の色が安い色の絵の具として売られていたのですが、これらはその名の通り「六価クロム」や「鉛」が成分に含まれていることからから毒性が強く、健康や環境問題の観点と、さらに時間と共に色合いが暗くなるという欠点もあったため近年は作られなくなりました。

その代替として他の顔料で同じような色を合成して作られたのがパーマネント・イエローとかパーマネント・グリーンという色なのです。

パーマネントとは直訳すると“永遠の、恒久的な”という意味になりそれだけ変色をしない色だという意味で付けられました。

こうしたパーマネント系と同じく科学的に合成し、高価な顔料の色に似せて作られたのがHUE(ヒュー)という訳です。(一昔前までTINT(チント)とも名付けられていました)

ですのでHUEがつく絵具は安全、安心、安価と言えます。

安価といっても初心者だけでなくベテランの制作にも十分に耐えられるものなのですが、混色時や彩度においてやはり“本物”と差があることは否めません。
そこまでのこだわりと腕が上がれば気に入った色を順次“本物”にしていってもよいかも知れませんね。

ちなみに管理人はほぼHUEを使っていますが、バーミリオンだけは“本物”を使っています(*^^*)

油絵具選び方チェックポイント⑦ 白について

最後に皆さんももっともよくつかわれる白色について触れておきたいと思います。

白(ホワイト)は一見するとどれも同じに見えますが、いろいろ種類があって悩みの種の色ですよね。代表的なところではパーマネント・ホワイト、ジンクホワイト、チタニウムホワイトあたりです。

それぞれどんな特徴があるのかまとめてみます。

1)ジンクホワイト
ジンクホワイトは、白の中でも一番弱い色です。
この弱いというのには2つの意味があります。一つは色として弱い。下の色を隠す性質=隠ぺい性が弱く、また他の色と混色したときなかなか白くならないのです。

例えばピンクを作ろうとして赤とジンクホワイトを混ぜると赤味の強い、濃いピンクになります。
なので明るいピンクにしたい場合は大量にジンクホワイト混ぜなくてはいけません。
もう一つの弱いというのは物理的に脆い問う意味です。
具体的には厚塗りをするとひび割れたり剥離する危険性があるのです。

逆に良い点は青みがありとても澄んだきれいな白なので、薄く塗って清らかな印象を与えることが出来るので仕上げ用などに向いています。

また初心者用の絵の具セットにはこのジンクホワイトが入っていることが多いのですが、これは初心者の方はななんでも白を入れてしまう傾向があるため、絵が白く粉をふいた感じになりやすいためわざと弱いジンクホワイトを入れている、と管理人は推測しています。(本当のところは分かりませんが(;^_^A

2)チタニウムホワイト

チタニウムホワイトはジンクホワイトと真逆の性質で最も強い白です。
隠ぺい性、不透明性が強いのが特徴で何と混色しても相手の色を食ってしまいます。

安易に使うと絵が一気に白っぽくなってしまいますので強烈なハイライトが欲しい時以外は使い過ぎに注意が必要です。

3)パーマネント・ホワイト

パーマネント・ホワイトは上記二つのホワイトの中間ぐらいの強さです。
適度な隠ぺい力があり、取り立てて癖がないので一番使いやすい色と言えます。
初心者の方にも迷ったらこれをお勧めします。

4)シルバーホワイト

シルバーホワイトは伝統的な白絵具で昔からよく使われてきたホワイトです。
管理人も好んで使っていましたが、近年はその毒性が指摘され海外ではほとんど作られなくなり、国内メーカーでもあまり見かけなくなりました。

その代わりに登場したのが前述のパーマネント・ホワイトという感じです。

その他ファンデーションホワイトという下塗り(地塗り)専用に作られた白やセラミックホワイトなどメーカーによっていろいろ出されていますが、製作段階や表現によってホワイトを使い分けるというのは本当にプロの方だけだと思いますので、ここでは迷ったらパーマネント・ホワイト一択でいいと思います。

油絵具選び方チェックポイント⑧ これだけは外せない色15色!

ここまで絵具選びの注意点や覚えておくと良いと思われることを書いてきましたが、最後に初心者の方にこれだけは初めに揃えておいた方が良い色ベスト15色をご紹介しておきたいと思います。

まあこのほとんどが各メーカーが出しているセットに入っているものですが、メーカーごとに入っている色にばらつきがありますので、もしご自分で買われた場合はここに挙げた色がない場合は是非追加で買っておかれることをお勧めします。(色名はメーカーによって若干変わる場合があります)

1パーマネント・ホワイト
2パーマネント・イエロー・ライト
3パーマネント・イエロー
4クリムソン・レーキ(濃い赤)
5バーミリオン・ヒュー
6セルリアンブルー・ヒュー
7コバルトブルー・ヒュー
8ウルトラマリン・ブルー・ヒュー
9ヴィリジャン・ヒュー(濃い緑)
10パーマネント・グリーン
11パーマネント・グリーン・ライト
12カドミウム・レッド
13イエローオーカー(黄土色)
14バーント・シェンナ(茶色)
15アイボリー・ブラック

《その他持っていた方が良い色》
カドミウムレッド・パープル、コバルト・バイオレット・ヒュー、ローシェンナ
管理人が個人的にお勧めなのはクサカベのブルー・コンポ―ゼという緑がかった水色、テールベルトという深緑色です。

ブルー・コンポ―ゼは風景画で明るい空や水の色によく映える色ですが、それよりも混色して物体の影の色として奇麗に使えます。

またテールベルトも自然の緑、特に影を表現するにはあった方が良い色です。

絵の具の選び方 まとめ

ではここで絵具選びの注意点をまとめてみます。

1メーカー・・・迷ったらホルベイン、マツダ、クサカベのどれかでOK!
お金に余裕があって本格志向の方はマツダスーパーやヴェルネ、油一など専門家用もあり。

2.油絵具は色によって値段が格段に違う!
特に高価な色は、HUEという廉価版があり、それでも問題なく使える。
3.白はパーマネント・ホワイトで!
4.最初に基本の15色揃えよう。

最期によく形から入る方っていますよね。
管理人の経験上男性の方が多いのですが、そういう方は『混色して色を作るのが大変』だからと初めから36色や50色セットなどを買う方がいらっしゃいますがそのほとんどが使いきれません。
というか持て余してしまうのです。
結局同じ色ばかり使い、使わずに放置される色がたくさん出てしまってもったいないことになりますのでまずは12~5色セットで買い、必要に応じて1色、2色と追加して種類を増やようにした方がよいでしょう。

ここまで初心者の方向けに絵具について、買い方選び方をご紹介してきましたが、この他にも分からないことや、これってどういうこと?という素朴な疑問などがありましたらコメント欄からご質問ください。

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