注目の記事 PICK UP!

【油絵の筆の選び方を教えて!】筆選びのポイントを解説します!

こんにちは。管理人の河内です。

今回は『初心者のための絵画技法』シリーズ第2弾となります。

前回は絵具の選び方、買い方についてご案内しましたが、今回は《絵筆の種類と選び方》についてやさしくご紹介したいと思います。

管理人の絵画教室でも、生徒の皆さん描くことに一生懸命になりすぎて、意外と見落としがちなのが筆の選び方です。

授業でもよく言うのが『カレーライスを食べるときはスプーン』『うどん、ラーメンを食べる時はお箸』『パスタはフォーク』と使い分けるように、うどんをスプーンで食べるようではせっかくおいしいうどんでも食べ辛くてしょうがありません。

それと同じでどんなに頑張っても求める表現に適した筆を使わなければ思い通りの結果は得られません。

『弘法筆を選ばず』という言葉がありますが、空海ほどの天才的な技量があれば別の話ということで多くの人はちゃんと用途にあった筆を選んで使いましょうということですね。

 

そもそも油絵の筆にはどのような種類があるのでしょうか?

絵の具やオイルと同じように画材店に行くと、色んな大きさや形をした筆がずらりと並んでいますよね。

その中から一体どれを選べばよいのでしょうか?

筆もまた絵の具と同じようにラベルに書かれた文字は横文字アルファベットですし、大きさ太さも0号とか10号とか様々で、メーカーによってもまちまちですしね。

では初心者の方にもこれだけは覚えて頂きたいポイントを2つに分けてご説明します。

筆選びのポイント① 材質

油絵の筆は大別して「固い」毛の筆と「柔らかい」毛の筆があります。

《固い毛の筆》は主にブタの毛を使った豚毛筆を指します。
一方《柔らかい毛の筆》はイタチやリス、馬などの毛を使ったもの、そしてそれらを模して合成された人工毛の筆など多くの種類があります。

“豚毛”は油絵の筆としてもっともポピュラーな毛で、初心者の方が初めて買う油絵セットに入っているのは通常この豚毛の筆になります。

特徴を一言でいうと固くて腰が強くバサバサとした感じです。

油絵具は通常ボッテリとしたボディーがあるので、それに負けない腰の強さとねばりが必要です。それにはこの“豚毛”が一番適していると言えます。

一方、“柔らかい毛”=軟毛タイプは材質がいろいろあります。

たとえばテン、イタチ、リス、馬、牛、狸、マングース、コリンスキーなどなど。
それら一つ一つの細かい説明はメーカーや他のサイトに譲るとして、簡単に言うと柔らかく弾力があり油の含みが良いのが特徴です。
繊細な表現や滑らかな塗り、仕上げなどに適しています。

筆選びのポイント② 形状

続いては筆の形状についてです。
毛先の形ですね。
これもメーカーのカタログなどを見ると千差万別というかとても覚えきれないほどの種類があります。
でもほとんどが次の4つさえ覚えていただければ問題ありません。
①丸筆(ラウンド)、②平筆(フラット)、③フィルバード、④扇形(ファン)

①の丸筆はいわゆる書道の筆と同じく丸くて穂先がとがった形状です。
線から面まで様々な表現ができ、細部を描くにも長いストロークで線を描くにも使えオールラウンダーな筆といえます。
管理人自身はほぼこれしか使わず、生徒さんにもなるだけお勧めしています。

②平筆は四角い、いわゆる刷毛のような形状で広い面を塗るのに適しています。
またとがったエッジを生かしてシャープな線を描くこともできます。
でも逆に面を塗るときに、その塗り終わりがシャープに出過ぎるのであまりお勧めしません。

③フィルバードは聞きなれない言葉ですが、平筆の角を丸く削ったような形状です。
面を塗る時に、平筆ではエッジが立ってしまうのを防いでくれ滑らかに塗ることが出来ます。表面をぼかして滑らかな面を表現したり、サイズの細いタイプを使うと描き込みまで使えます。
ラウンドに続く使いやすい筆といえます。

④扇形(ファン)はその名の通り扇を広げたような形状で薄く平べったい形をしていて、グレーズ技法(グラッシ)やぼかしなどをしたいときに用います。
ある意味特殊な表現法で使うので持っていなくても問題ありません。

初心者の方がこの4種すべてを持つ必要はありません。
管理人的には①のラウンドさえ持っていれば全く問題ないと思いますが、欲を言えば③のフィルバードを追加で、という感じです。

筆選びのポイント③ 選び方

1.揃えるべき筆はこれ!

初心者の方は、まず道具セットに入っている豚毛の筆から始めることになると思います。

しかしセットには硬毛の豚毛筆しか入っていないことが多いので、軟毛の筆をいくらかは追加で買いましょう。

そこでまず揃えたいのは、

硬毛筆=豚毛(形状:ラウンド)12、10、8、6、4号
(形状:フィルバード)8、6、4号

軟毛筆(形状:ラウンド)8、6、4、2号

注)上記に描いたサイズは、初心者には始めやすいF6~F10号ぐらいのキャンバスサイズに描く場合を想定していますので、描かれる作品のサイズによってもっと大きなサイズや小さいサイズが必要な場合が出てきます。
またメーカーやシリーズによって同じ10号でも太さや毛足の長さに違いがあります。

 

2.お勧め筆はこれ!

では具体的に管理人の個人的経験からお勧めしたい筆をご紹介したいおと思います。

①硬毛(豚毛)筆

管理人のお勧メーカーは名村大成堂とホルベイン製の筆です。
どちらも大手画材メーカーですが、特に“名村NAMURA”は書道用、日本画用筆のメーカーとして出発した老舗で品質は折り紙付きです。
管理人も学生時代の恩師から勧められた豚毛は名村製でした。

ナムラHK(白の柄)、ナムラHF(濃緑色の柄)

②軟毛筆

上でも書きましたように軟毛筆は種類が多く、特徴や用途も多様なため相当慣れてこないとその違い、使い分けなどは良く分かりません。

また天然素材の軟毛筆は、お値段もピンキリでコリンスキーなど貴重な動物の獣毛はかなり高額のものもあります。

そこで管理人が初心者の方にお勧めしたいのは、ホルベイン社から出ているRESABLE(リセーブル)シリーズです。
これらは特殊処理した合成繊維に様々用途ごとに天然毛をブレンドして作られた筆です。

100%天然毛の筆よりも安価ながら、耐久性や腰の強さ、弾力性、先のまとまりなど天然毛より強く、一般的に描くのに十分な質を備えています。

プロやこだわりの強い専門家からすると、絵の具の含みが悪いとか弾力性に欠けるなどと言われることもありますが初心者やアマチュア画家の方には全く問題ありません。

管理人自身、長年軟毛筆はほとんど “リセーブル”を使っています。

 

ホルベイン画筆カタログより

ホルベイン画筆カタログより

リセーブルの中にも複数種類がありますが、そこはあまり気にせずに2,3試して見られることをお勧めします。
筆は実際描き手との相性がありますので使い心地を試してみてください。

またここで大手メーカーをお勧めする理由は長年管理人自身が使ってきたことと、たいていの画材屋さんで取り扱いがあると思うからです。
筆は絵具以上に消耗品であり、慣れてきたらまた同じものを使いたくなるのですが、そうしたときにすぐに新しい筆が手に入るという意味でもこの二つはお勧めです。

なおここに挙げた筆はあくまでも管理人のお勧めであり、先生について習っている方はご自身の先生の指示で揃えてください。

 

筆選びのポイント④ 軟毛と硬毛どのように使い分ければいいの?

1.硬毛と軟毛の使い分け

ではここまで説明してきた硬毛筆と軟毛筆はどのように使い分ければよいのでしょうか?

豚毛は腰が強くバサバサとしているので、オイルをあまり使わず厚塗りをしたり、印象派のようなタッチを生かした描画などいわゆる“油絵らしい”表現が得意です。

クロード・モネ《ラ・グルヌイエール》(部分)

クロード・モネ《ラ・グルヌイエール》(部分)

また下地塗や大まかな塗りをするのにも向いていますが小さいサイズを使えば繊細な表現も可能です。

 

反対に軟毛筆は繊細な表現、滑らかな表現に向いています。
リアルな写実表現や人の肌などを滑らかに表現したいときなどにこの筆を使います。

豚毛に比べ腰が弱いため絵具を塗るときはどうしてもオイルを多く混ぜなくてはなりません。そのため薄塗りの表現となりますが、これを使うと古典的な油絵に見られるような透明感のある表現が出来ます。

 

大まかに特徴による使い分けは以上のようになりますが、これらをうまく使い分けたり併用することでより表現の幅が広がります。

2.制作段階による使い分け方

ではここでオーソドックスな描き方で、制作段階による使い分け方をご紹介します。

まず、制作の初めの段階では大雑把な仕事が多く、沢山の絵具を塗りこんだり大きな面積を一気に塗ったりする仕事が続きますので大きいサイズの豚毛の丸筆、平筆などを使います。
強い腰と弾力性によってたくさんの絵具を一気に乗せることもできます。

大まかな仕事が済み、描き込み段階に入るとサイズを小さくした(8~4号)丸筆やフィルバードなどを使っていきます。

そして制作が進む後半以降、細部を描写したりぼかしたりするなど丁寧な仕事をするようになると軟毛筆に切り替え仕上げます。

このような描き方の場合、ざっくりいうと描き出し~中・後半まで豚毛(全体の7~8割)。後半から仕上げが軟毛筆(2~3割)という感じで使い分ければよいと思います。

筆選びのポイント まとめ

絵を描く描き方は自由ですので筆の選び方もそれほど厳密に決まっているわけではありません。
かといって目が回るほどの種類の中から初心者の方が自分にあった筆を選ぶのは至難の業です。
今回ここに挙げた“種類”“買い方”“使い方”などはすべて管理人自身が使っており実際沢山の生徒さんにもお使いいただいておりますので安心してお勧めいたします。

これを土台に少しずつ皆さんの好みと目指す表現に合わせて種類や数を増やしていってみてください。

 

関連記事

  1. 【新シリーズ】ニッチで実践的な絵画入門!

  2. 【実践!背景の描き方】油絵の背景ってどう描くの? その②

  3. 【油絵のオイルについて教えて!】油絵のオイルをすっきり分かりやすく解説します!

  4. 【基礎デッサン】独学者、初心者のための道具選び

  5. 【油絵具の選び方】油絵具を買う時の注意点を解説します!

  6. 【デッサンの基本】デッサンするときは目を細めろ!

  7. 【基礎デッサン・ガラスってどう描くの?】ガラス瓶の描き方

  8. 【デッサンの基礎】影の付け方~影はどうやって描くの??

  9. 【デッサンの基本】デッサンをするときは目を細めろ!その②

コメント

    • 永井 美紀
    • 2019年 3月 14日

    いつもお世話になってます。
    久しぶりに筆を買いに行って、大量の筆の前でウンウン唸ってましたー!
    読んでから買いに行けばよかった_| ̄|○

    絵の具の話も、とても分かりやすかったです。
    ありがとうございました

      • piccolo2017
      • 2019年 3月 14日

      永井さん、コメントありがとうございます!ほんと前もってお知らせしとけばよかったですね(*ノωノ)すみません↴

  1. この記事へのトラックバックはありません。

人気記事

おすすめ記事

  1. 【基礎デッサン・ガラスってどう描くの?】ガラス瓶の描き方
  2. 【基礎デッサン】独学者、初心者のための道具選び
  3. 【展覧会レポート】クリムト展 ウィーンと日本1900
  4. 【デッサンの基礎】影の付け方~影はどうやって描くの??
  5. 【実践!背景の描き方】油絵の背景ってどう描くの? その②
PAGE TOP