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【展覧会報告】ムンク展~共鳴する魂の叫び

こんにちは。管理人の河内です。

今回は東京・上野の都美術館で開催中の『ムンク展~共鳴する魂の叫び』を見て来ましたのでその報告記事になります。

現在(2018年11月)上野では『フェルメール展』(上野の森美術館)、『ルーベンス展』(国立西洋美術館)と並んでこの『ムンク展』が同時開催されていて美術ファンにはたまらない時期となっています。

ムンクと言えば『叫び』、『叫び』と言えばムンク、誰もが一度は目にしたことがあるとてもインパクトのある絵で知られていますね。
そして今回はその『叫び』が日本にやってきたということで、平日にも関わらず大勢のお客さんが会場に詰めかけていました。
もうご覧になられた方もまだ見ていない方も是非ご参考にして頂ければと思います。

目次

ムンク展① 【展覧会概要】

会場:東京都美術館 企画展示室 東京都台東区上野公園8-36
会期:2018年10月27日(土)~2019年1月20日(日)
休館: 月曜日(ただし11月26日、12月10日、24日、1月14日は開館)
12月25日(火)、1月15日(火)
年末年始休館 12月31日(月)、1月1日(火)
開館時間:9:30~17:30 ※金曜日は午後8時まで。入室は閉館30分前まで。
主催:東京都美術館、朝日新聞社、テレビ朝日、BS朝日
後援:ノルウェー大使館
公式ウェブサイト: https://munch2018.jp/
問い合わせ:ハローダイヤル 03-5777-8600

ムンク展② ムンクってどんな人?

19世紀末から20世紀前半に活躍したノルウェーの画家。
ムンク本人についてはこちらの記事で詳しく書いておりますので是非ご一読いただければと思います。

⇒『叫びの画家・エドヴァルド・ムンクの生涯と画風をご紹介します!』

とりあえず、絵は見たことがありけど実際ムンクってどんな人だったの?という方も多いと思います。
もちろん「ムンク展」会場にもムンクについての説明や経歴があちこちに掲示されていますが、まだご覧になっていない方は予習をかねて、もう行かれた方は改めて復習のつもりでお読みいただければと思います。

ムンク展③ 見どころ

ムンクの故郷にあるノルウェーの首都オスロ市立ムンク美術館が所蔵するコレクションから「絶望」「自画像」「星月夜」など代表作の油彩約60点に版画などを加えた約100点の作品が展示されています。
目玉の『叫び』はいくつものバージョンがある中で油彩・テンペラ混合技法による作品が初来日しています。

会場は「ムンクとは誰か」「家族―死と喪失」「夏の夜―孤独と憂鬱(ゆううつ)」「魂の叫びー不安と絶望」「接吻、吸血鬼、マドンナ」「男と女―愛、嫉妬、別れ」「肖像画」「躍動する風景」「画家の晩年」の9つのテーマが設けられ、部屋ごとに分かれて展示されています。

ムンクが生涯テーマとした「生と死」「不安」「恐怖」「愛と嫉妬」など人間誰しもが持つ心の苦悩を表現した作品が並び、少々暗い気分になりますがそうした内面の暗部、もっと言えば「魂」をえぐり出そうとしたのが“ムンク芸術”の神髄なのでそれはそれで正しい反応と言えます。
またムンクは絵画だけでなく言葉による表現も多く残していて、それらは難しいと感じるムンク芸術の理解を助けてくれるものですが、会場にはセクションごとに壁に大きくそのセクションを象徴する言葉が書かれてありました。例えば最初のセクションは自画像が多く並んでいる部屋で『私の芸術は自己告白である』と書かれてあります。

出品作品(一部)

『病める子』 リトグラフ

『生命のダンス』 油彩

『ブローチ、エヴァ・ムドッチ』 リトグラフ

 

『灰』 油彩

『太陽』 油彩

 

 

 

 

 

ムンク展④ 私的感想

管理人も今回初めて『叫び』の実物を見ました。その他『病める子(版画)』『マドンナ(版画)』『生命のダンス』など代表作をはじめ、粒ぞろいの作品で楽しめました。
まとめてムンク作品を見られる機会は多くはないのでとても良かったと思います。

でも実際ムンクの作品を見て美しいと感じる人は少ないのではないでしょうか。
優れた技術を見せるというのともまた違い、ムンク自身のあふれ出る感情と折り合いをつけるためであったり客観的に向き合うために、絵に表現するにはどういう手法を使うのが良いか模索の末たどり着いた画風だからでしょう。

同じ時代、19世紀末はクリムトやルドン、シーレなど多くの芸術家が時代特有の不安や退廃的ムードをテーマとして象徴的な作品を制作しましたが、ムンクほど自己の内面を「自己告白」をした画家はいません。

ムンクにとって絵を描くことはある意味で、教会の懺悔室で神父さんに告白を聞いてもらったり、現代ではカウンセラーに胸の内を打ち明けたりするのと同じことだったのかなと思います。辛い経験からくる不安と恐怖に苛まれていたムンクは、絵を描くことで精神のバランスをかろうじて保っていたのかも知れません。

またヴィジュアル的にも「叫び」はもとより「地獄の自画像」「接吻」や「絶望」など、ある意味漫画的にさえ感じるポーズや画面構成は、逆にムンクがその原型を作ったのかなとも思いました。

『地獄の自画像』

 

ムンク展⑤ まとめ

いかがでしたか?あまりにも『叫び』のイメージが強すぎることから本来の意味を外れてキャラクターとして独り歩きしてしまった感が強いムンク(会場でもとても多くのグッズが販売されていました)ですが、今展のように一堂に作品を鑑賞し、その背景を知ることで“本当の”ムンクを知ることが出来るのではないでしょうか。
今回のような大回顧展は貴重ですので是非足を運んでみてください。

 

【ムンクに関するその他の記事】

・『叫び』の画家、エドヴァルド・ムンクの生涯と画風をご紹介します!

・『生と死を見つめた画家』エドヴァルド・ムンクの生涯を詳しく解説します!

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