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『バロックの神髄!』ルーベンス代表作を解説します。

こんにちは。管理人の河内です。

今回はバロック美術最大の画家ピーテル・パウル・ルーベンスの代表作を解説したいと思います。

ルーベンスはなんといってもその作品数の多さで抜きんでておりその数2000以上。もちろん一人で描いたわけではなく大きな工房を経営して多くの助手や助っ人画家らと描いたのですが、どれも名作揃いで選ぶのに苦労しました!

という分けでルーベンスの代表作を2回に分けてご紹介します。

ここに挙げたのはあくまでもほんの一例ということで、ルーベンスをより深く知るためのご参考になればと思います。

 

 

ルーベンスの代表作① 「サムソンとでリラ」

185×205㎝ 1609年 ロンドン・ナショナル・ギャラリー蔵

この絵の主題は旧約聖書『サムソンとデリラ』の話。

イスラエルの民がカナンの地を奪回した後、ペリシテ人など他部族から救った怪力者サムソンが、ペリシテ人の娼婦デリラに恋をし、自ら頭髪を切られると怪力がなくなることを教えてしまいます。それを知ったペリシテ人に髪の毛を切られてしまう場面です。

この作品はそのイタリアからの帰国直後にアントワープ市長ニコラス・ロコックスの依頼で描かれました。

ルーベンスは画家として独立した後、イタリアへ行き古代からルネサンス、同時代の画家まで広く研究しました。今作では強い陰影法とドラマチックな構成など当時イタリアで名声を博していたカラヴァッジョの影響が色濃く出ています。

 

ルーベンスの代表作② 「十字架昇架」

中央パネル460×340㎝ 両翼460×150㎝  1610年ごろ

聖ワルブルグ教会の主祭壇画として制作されました。その協会の取り壊しに伴い1816年アントワープ大聖堂に移されました。

現在は『十字架降架』と共にその内容からも対になるように展示されています。

この作品も三連画になっており、左右翼がいわゆる観音開きになっていて、普段は閉じられ礼拝の時に明ける構造になっています。

バロックの特徴である強い明暗のコントラスト、対角線の流れに沿った人物群が大きな流れとなって見る者を圧倒します。

キリストをはじめ、人物は筋肉隆々の逞しい姿で描かれ、力んでさらに強調されています。

このような筋肉隆々の男性像が、複雑に捻じれ絡み合う様子はイタリアで菜なんだ古代ギリシャ彫刻『ラオコーン』や、ティントレット、ミケランジェロの影響を色濃く反映してます。

キリスト教最大のクライマックスであるイエスの磔刑。磔されている場面や降ろされる場面を描いた作品はよく見られますが、今作のようにイエスが磔られたままこれから十字架が立てられようとする場面は珍しいですね。

 

ルーベンスの代表作③ 「十字架降架」

1611~14年 アントワープ大聖堂 中央パネル420×310㎝ 左右翼パネル420×150㎝

いわゆる三連祭壇画(トリプティックTriptiych)で描かれた大作です。

この作品は火縄銃兵組合の依頼により描かれました。

磔の後、十字架から降ろされるキリストの体は青白く生々しく描かれながらもルーベンス特有の筋骨たくましい姿で描かれています。

画面を対角線に流れる構図とスポットライトを当てたような強い明暗のコントラスト、キリストの体を支える人物たちの衣服の鮮やかな赤や青色、金髪などがよりドラマチックに演出しておりまさにバロック美術の代表作と言えます。

これらはルーベンスンがイタリア時代に古典やルネサンス美術などを研究した成果と自身の自由な発想を組み合わさって完成されました。

左右両翼の登場人物はどれもルーベンスの生きた時代の服装で描かれ、荘厳なローマ風神殿をバックに描かれています。

左翼の「聖母マリアの御訪問」大きなおなかを抱えた旅装束のマリアが、洗礼者ヨハネを身籠ったエリザベツの家に着いた場面です。

左右翼の「聖母マリアの御訪問」と「キリストの奉献」のためのすばらしい彩色下図がロンドンのコートルード・インスティテュート・ギャラリーに所蔵されています。

 

 

ルーベンスの代表作④ 「河馬狩り」

1615年ごろ 247×320㎝ アルテ・ピナコテーク蔵

ルーベンスがバイエルン公マクシミリアンの依頼でシュレスハイム宮殿のために描かれた4連作の狩猟の場面を描いたうちの一つ。

当時動物画で名高かったフランス・スネイデルとの共作です。様々な動物たちと人間が激しく乱闘する迫力ある画面です。ダイナミックな構図と馬たちの動き、真に迫る男たちの表情などは、ルーベンスがイタリア時代に模写をしたレオナルド・ダ・ヴィンチの幻の壁画作品『アンギアーリの戦い』を彷彿とさせます。

 

ルーベンスの代表作⑤ 「四大陸」

209×284㎝ 1615~6年ごろ ウィーン美術史美術館蔵

ヨーロッパ、アジア、アフリカ、アメリカの四つの大陸を女神として擬人化して表現されそれぞれに流れる大河が男性として描かれています。

現在ではアジア、ヨーロッパは地続きで一つのユーラシア大陸となっていますが、当時別々の大陸と考えられていました。

左側の女性がヨーロッパ、それに寄り添い櫂を持っているのがドナウ川、中央の黒人女性がアフリカで背中向きの男性がナイル川。右側がアジアを象徴し虎を従えているのがガンジス川、そしてその奥にアメリカ大陸とラプラタ川がそれぞれ描かれています。

細かいアレゴリーには諸説あるようですが、彼らはみな老人の顔をしていても筋骨隆々で女性もルーベンス特有の放漫な柔らかさはなく、古代彫刻のような体と捩るポーズからは明らかにミケランジェロの影響が見て取れます。

 

ルーベンスの代表作⑥ 「子供の顔」

37×27㎝ 1618年ごろ リヒテンシュタイン公コレクション

モデルはルーベンスの長女クララ=セレーナだと考えられています。

残念ながら彼女は12歳で幼くして亡くなっています。

完全に仕上げられた作品ではありませんが、こどものつややかな肌、一瞬の煌めきと愛らしさを見事にとらえています。この愛情に満ちた肖像画は、巨匠の個人的な理由で描かれたであろうことは容易に推察できます。

 

ルーベンスの代表作⑦ 「レウキッポスの娘たちの略奪」

1616年ごろ 224×210.5㎝

白鳥に姿を変えたユピテルがレダに産ませた双子の一組カストルとポルクスがメッシーニのレウキッポス王の娘たちをさらって妻にしようとする。

バロック特有の強い動きのある構図です。人物たちの髪、馬の鬣、乱れた衣服のしわなど風に舞うように軽やかで画面の動きを強調し、今まさ動きの中にあることが表現されています。また馬の毛波、輝く鎧、艶やかな絹や肉体表現などの質感も見事に表現されています。

中央の女性は二番目の妻エレーヌがモデルだともいわれています。

 

ルーベンスの代表作⑧ 「麦わらの帽子」

79×54.5cm  1620~25年 ロンドンナショナルギャラリー蔵

今作品はルーベンスの肖像画の中でも最も親しみやすく愛らしい作品の一つです。

モデルは2番目の妻エレーヌ・フールマンの姉、シュザンヌ・フールマン。フェルトの帽子を被っていますがなぜか「麦わら帽子」と呼ばれています。

ルーベンスの特徴である軽やかな達筆と肉感的な人物表現により、女性らしい柔らかで優しい雰囲気が伝わってきます。

 

『バロックの神髄!』ルーベンスの代表作を解説します② に続く

 

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