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【展覧会報告】『ターナー 風景の詩』展

こんにちは。管理人の河内です。

今回は、現在東京、新宿の東郷青児記念・損保ジャパン日本興亜美術館で開催中の『ターナー 風景の詩』展を見て来ましたのでそのご紹介とレポートをしたいと思います。

実は管理人の私にとって個人的にも思い入れのある画家です。

私がまだ小学生だったころ、画家の名前なんてピカソくらいしか知らなかった頃に、自宅でとっていた新聞が、毎週日曜版に「世界の画家」を紹介していました。

そこにターナーの作品が大きなカラー図版で載っており、それに感動したのが初めての出会いでした。どの絵だったかは忘れてしまいましたが、そのあまりに幻想的な雰囲気に心奪われ、その時初めて意識的に覚えた外国の画家の名前がジョセフ・マロード・ウィリアム・ターナーでした。

ターナーは日本でも人気のある画家なので、数年ごとに展覧会が行われていますね。

なんと夏目漱石の「坊ちゃん」にもターナーについての記述があるほどですからその人気は歴史がありますね。

その作品は小学生でも感動するほどですから、難しい芸術論などは一切抜きでどなたでも素晴らしいと感じられる画家ではないでしょうか。

今回私が見に行った時も、平日のお昼にかかわらず、結構な人が見に来られていました。

① ターナーとは

本名: ジョセフ・マロード・ウィリアム・ターナー Joseph Mallord William Turner

ターナーは、文句なくイギリス美術最高の風景画家です。

ターナーが活躍したのは18世紀後半から19世紀前半のイギリス。ロマン主義に分類されます。

その卓越した技術力は凄まじく、嵐の海や廃墟の風景、のどかな田園や峻厳な山々などを神秘的な光と空気に包まれた幻想的な世界として表現しました。

初期のころは技術力の高さを分かりやすく見せつけるように緻密でリアルな表現が主流でしたが晩年になるにつれ、抽象度が増していきます。

当時から人気があった画家でしたが抽象性が高すぎてモップで描いているなんて批判をする人もいたそうです。

今回出展はありませんが、『雨、蒸気、スピード-グレート・ウェスタン鉄道』『ノラム城、日の出』などはほとんど抽象画と言っても良いぐらいです。

こうした抽象的な風景画は、のちの印象派の巨匠モネにも大きな影響を与え、『印象、日の出』へとつながっていきます。

ターナーは若くして才能を発揮し、20代にしてロイヤル・アカデミーの正会員となりました。

今展覧会の最初の一枚目になんとターナー17歳の時の作品(↓)が展示されていましたが、その技術力と完成度において既に天才を見せつけていました。

『マームズベリー修道院』54×38.3㎝

そしてそんなターナーは何と正規の美術教育を受けていなかったということで二度驚きです。

管理人の私は17歳のころには芸術大学を目指して絵の勉強をしていましたが、隣にあんなの(とは失礼ですが)がいたらさっさと絵を描くのを止めていたかもしれません(;^_^A 他の分野はいざ知らず、美術分野の「天才」っていうのは皆早熟ですね。

 

② 展覧会概要

開催期間:2018年4月24日(火)~7月1日(日) 月曜休館 10:00~18:00

会場:東郷青児記念・損保ジャパン日本興亜美術館 (東京 新宿駅から徒歩5分)

https://turner2018.com/

初来日を含む約120点が出品されています。

今展の構成は、『地誌的風景』『海景』『イタリア』『山岳』の4つの章に分類されていて、それぞれをテーマに描かれた水彩画とエッチングなどの版画、少ないですが油絵が展示されています。

水彩画や版画がほとんどで、それらも挿絵として描かれたものも多く、また美術館自体が超高層ビルの1フロアにあるので場所が狭いせいか、作品は小ぶりなものがほとんどです。

ところで『地誌的風景画』というのは、簡単に言うと描かれた場所が特定でき、現実に忠実に再現された風景画ということです。 現代のように写真がなかった時代では画家の重要な仕事に写真のような正確さが求められることがありました。現代で言う旅行のガイドブック的なものや、軍事目的の場合もあったようです。

当時は風景画だけでなく絵画というものは現実をそのまま写すのではなく、様々な演出を入れてより理想的な形で表現することが望ましいとされていました。そのためあえてこういうジャンルが別に設けられたのだと思います。

後の3つの章ではそうしたある種の「理想化」がされており、そこにこそ画家の真骨頂があります。

 

③ 感想

管理人のある種職業病ですが、素直に見るよりテクニックを見てしまいますが「やっぱり上手(うめー)な~」とため息が出るのが最初の感想です。

本当に技術がスゴイ。それだけで嬉しくなりました。

しかし技術と言うのは『諸刃の剣』。技術がないとプロではないのですが、それが全面に出て上手さが鼻については表現にならない。

ターナーが後半どんどん抽象化していったのは、よりテクニックを見せずに表現重視に傾いていったからかなー?なんてことを考えながら見ていました。

今展は『100% ターナー』を謳っているだけあって作品はすべてターナーの作品なのですが、やはり小さい版画や水彩画ばかりなので油絵が専門の管理人としては、もう少し油絵が見たかったところです…

また作品数はそれなりに多かったのですが、小さい作品がズラーっと並んでいて、どれも色調が似ているので飽きてしまうというのも否めませんでした。

まあ風景画家なので似てくるのも当然と言えば当然ですが…

ターナーは版画をかなり積極的に制作していたようです。高価であまり数も描けない油絵に比べ、安価でより多くの人に自分の作品を広めるために版画は有効だったようです。しかし版画は日本の浮世絵同様に画家自身が版を彫ったり刷ったりすることはあまりなかったようで、ターナーは原図を描きそれを熟練した掘り師や刷り師が完成させていたようです。

 

今展はすでに4月に京都文化博物館で公開され、この東京展を見逃された方は7月から郡山美術館に巡回の予定ですのでお好きな方は足を運ばれてみてはいかがでしょう。

7月7日(土)~9月9日(日)https://www.city.koriyama.fukushima.jp/bijyutukan/021-future.html

東京展ではご存知ゴッホの『ひまわり』にセザンヌの静物画とゴーギャンの風景画も見れますのでそちらもお見逃しなく。

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