こんにちは。管理人の河内です。
今回は久々の展覧会レポートをお届けします。
見てきたのは現在東京上野で開催中のウィーン世紀末の巨匠グスタフ・クリムトの「クリムト展」です。
史上最長の10連休となった今年のゴールデンウィーク真っ最中に行ったのですが、さすがに混んでましたね(;^_^A。
私が到着したのが午前10時半ごろでしたが30分待ちでした。
行かれたことがある方はお分かりだと思いますが、東京は上野動物園のすぐそばで、会場自体は大きいので入ってからはそれほど混雑は感じませんでした。
チケット売り場からすでに行列ができていたので列の最後尾に着きました。
そして何気なくチケットカウンター見上げたのですが、そのときちょっと管理人的に引っかかったことがありました。
それは入場料です。
一般料金が1600円で、65歳以上はシニア割引で1000円でした。
それはそれで良いのですが、大学生や専門学校生は1300円となっており、管理人的にはこの世代にもっと優遇を与えてもよいのではないかと少し不満を覚えたのです。
はっきり言ってシニアの方の方が、金銭的に余裕があるはずで、逆に若い子たちの方に少しでも安くしてあげてはどうか思うのです。
クリムトのようにあまり国内で大々的な展覧会が開かれない貴重な展覧会に、もっと若くて勉強中の人たちに見やすく低料金(無料でもいいくらい)にすることはできないものでしょうかね。
その中からクリムトに限らず過去の名作に触れて才能を開かせる未来の巨匠が出るかも知れませんし…。
さて年始の【絶対見るべき展覧会2019】の記事でも書きました今回の『クリムト展』、管理人もかなり久しぶりの“生”クリムトを見られるということで期待して意気込んでいったのですがどうだったでしょうか。
目次
クリムト展① 【展覧会概要】
会場:東京都美術館(東京上野公園内)
会期:2019年4月23日(火)~7月10日(水)
休室日5/7(火)、20(月)、27(月)、6/3(月)、17(月)、7/1(月)
開室時間 ㏂ 9:30~㏘5:30 金曜日は午後8時まで。
東京でも約30年ぶりとなる今回の「クリムト展」には、ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館の監修のもと油絵25点を含む過去最多のクリムト作品が来日しています。
公式ホームページ;https://klimt2019.jp/
クリムト展② クリムトってどんな人?
19世紀末、オーストリアのウィーンで活躍した画家。
修業時代であった学生の頃から兄弟や仲間と制作会社を作り壁画制作などの注文をこなすなど若くして才能を発揮。 装飾的で甘美な女性像が有名です。
西のフランスなどに比べてまだ王政が残る保守的な土地ウィーンで仲間たちと新しい美術を目指しウィーン分離派の中心として活躍しました。
平面的で装飾的な作風は、当時ヨーロッパで大流行した日本美術からの影響が大きい。
クリムトについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。⇒【退廃とエロス】世紀末ウィーンの巨匠グスタフ・クリムトを解説します!
クリムト展③ 見どころ
今回は30年ぶりとなるクリムトの全貌を見せる回顧展。
展覧会の構成は回顧展なのでクリムトの学生時代の作品から晩年までを時系列で追っていて各時代ごとに8つのセクション(チャプター)に分けて展示されています。
ですので入口から順番に見ていけばいわゆる画家クリムトの「全貌が掴める」という構成になっています。
Chapter1 クリムトとその家族
Chapter2 修業時代と劇場装飾
Chapter3 私生活
Chapter4 ウィーンと日本1900
Chapter5 ウィーン分離派
Chapter6 風景画
Chapter7 肖像画
Chapter8 生命の円環
前半は習作や仲間の画家などの作品が多く、メインといえる油絵は後半に多い感じです。
クリムト展④ 出品作品
《ヘレーネ・クリムトの肖像》1898年 59.7×49.9㎝ 個人蔵(ベルン美術館寄託)
《ヌーダ・ヴェリタス(裸の真実)》1899年 24.4×56.5㎝ オーストリア演劇博物館蔵
《ユディトⅠ》1901年 84×42cm ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館蔵
《女の三世代》1905年171×171㎝ ローマ国立近代美術館蔵
《アッター湖畔のカンマー城 Ⅲ》 1909-10年 ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館蔵
《家族》1909-10年 90×90㎝ ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館蔵
《オイゲニア・プリマフェージの肖像》1913-4 140×85㎝ 豊田市美術館蔵
クリムト展⑤ 私的感想
昨年クリムト展が開かれることを知ってから、かなり期待していましたが、管理人の個人的な感想は・・・70点ぐらいでしょうか。
少し辛めの点数ですが、「もっとたくさん見たかった!」というのがその理由です。
展示作品自体は結構沢山来ていましたが、友人のフランツ・マッチュやハンス・マルカトら他の画家の作品も多く、『クリムト展』というには少し間延びした感がありました。
《ヌーダ・ヴェリタス》《ユディトⅠ》《女の3世代》《オイゲニア・プリマフェージの肖像》などはとても良かったのですが、クリムトはそれほど作品数が少ない画家ではないですし、有名な作品もたくさんあるのでもっと見られるかと期待していたので残念な感じは否めませんでした。
管理人個人的にはクリムトの代名詞的な作品《接吻》や《アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 I》のような「これぞクリムト!」という妖艶な女性を絢爛豪華に描いた作品も好きですが、クリムトにとって私的な意味合いが強いアッター湖畔の風景画が好きなのでもっと見たかったです。
それでも学生時代の作品などはクリムトの画業を知る上では興味深い作品が見られたのは良かったかな…。
あと《ベートーヴェン・フリーズ》という壁画は原寸大の複製でしたが大きさもあり、実際の展示空間が再現されており、壁画表面の凹凸や金箔、埋め込まれた宝石(イミテーション?)も忠実に再現されていたので見応えはありました。
クリムト展⑥ まとめ
管理人的には少々物足りなさ感は残りましたが、もちろん素晴らしい作品も来ており、過去最大級のクリムト作品が30年ぶりに日本で見られる貴重な機会であることに間違いはありません。
今度はいつになるか分からないのでご興味のある方はぜひ足を運ばれてはいかがでしょうか?
あと昨今の美術館の商魂のたくましさは過熱する一方で、会場最後のミュージアムショップで売られているグッズは一昔前なら絵葉書と複製画、作品が印刷されたクリアファイルくらいのものでしたが、今展覧会のミュージアムショップでも文房具からお菓子、食器はてはワインまで様々なクリムトグッズが販売されていました。
特に今展では通常の図録のほかに「特装版」としてなんと価格12,000円の豪華版が800部限定で販売されるということです。
豪華な金表紙にミニチュア複製画などがセットになっているそうですが、管理人は気づかなかったのでもう完売していたのでしょうか…
こうしたグッズが楽しみで美術館に来られる方も実際多いと思いますが、クリムトは芸術性だけでなく装飾性と卓抜したデザインセンスもその魅力ですのでこうしたグッズなどはとてもしっくりくるかも知れないな~と思いました。
この展覧会は東京会場終了後、豊田会場(豊田市美術館)へ巡回します。
2019年7月23日(火)~10月14日(月・祝)
《クリムトに関するお勧め記事~こちらも合わせてご覧ください。》
・【退廃とエロス】世紀末ウィーンの巨匠グスタフ・クリムトを解説します!
・【ウィーン世紀末の巨匠】グスタフ・クリムトの生涯をご紹介します。
この記事へのコメントはありません。