こんにちは。管理人の河内です。
今回は35℃を越える灼熱猛暑の中、東京上野の都立美術館で開催していた「スコットランド国立美術館展THE GRATES 美の巨匠たち」展を見てきましたのでそのご報告をしたいと思います。
残念ながら私の予定が付かず、見に行ったのがほぼ会期末という事ですでに東京展は終了してしまいましたが、この後,神戸、北九州と巡回する予定ですのでそちら方面にお住いの方の参考になればと思いレポートしてみたと思います。
目次
スコットランド国立美術館展① 展覧会概要
ではまず展覧会の概要です。
上述したように今展覧会東京会場はすでに終わってしまいましたが、この神戸、北九州へと巡回します。
【東京会場】(終了)
会期:2022年4月22日(金)~7月3日(日)
会場:東京都美術館 企画展示室
休室日:月曜日
主催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都美術館、毎日新聞社、NHKほか
お問合せ 050-5541-8600(ハローダイヤル)
展覧会公式サイト: https://greats2022.jp/
【神戸会場】
会場:神戸市立博物館
会期:2022年7月16日(土)~9月25日(日)
休館日:毎週月曜日・7月19日(火)・9月20日(火)
ただし7月18日(月・祝)、9月19日(月・祝)は開館
開館時間:9:30~17:30 金曜日と土曜日は19:30まで ※入場は閉館の30分前まで。
主催:神戸市立博物館、毎日新聞社、NHK神戸放送局ほか
【北九州会場】
会期:2022年10月4日(火)~11月20日(日)
会場:北九州市立美術館 本館
主催:北九州市立美術館、毎日新聞社、NHK北九州放送局
スコットランド国立美術館展② スコットランド国立美術館ってどんなところ?
スコットランド国立美術館( National Gallery of Scotland)は、1859年に開館したイギリスのスコットランド、エディンバラにある国立美術館です。
エディンバラ中央部のマウンドと呼ばれる人工の丘陵地帯に建てられた壮大な新古典主義様式の重厚な建物となっています。
王立スコットランド・アカデミーから移管された絵画がコレクションの中核となっていますが、開館以来の作品購入と地元の名士たちからの寄贈や寄託によってその数は拡大を続けヤコポ・バッサーノ、アンソニー・ヴァン・ダイク、ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロらの傑作が収蔵されています。
またその研究施設には、初期ルネサンスから19世紀後半までの版画とドローイングに関する紙資料が30,000枚以上収蔵されていて参考文献のみが集められた学術図書館も大衆に公開されています。
スコットランド国立美術館展③ 見どころ
今展では同館が誇る至宝の中からゲインズバラ、レノルズなどイングランド出身の画家だけでなくラファエロ、エル・グレコ、ベラスケス、レンブラント、ルーベンスなどルネサンス期から19世紀後半まで西洋美術史を代表する巨匠たちの油彩画・水彩画・素描など約90点が展示されています。
特に今回の見どころは日本初公開となるベラスケスが青年時代に描いた『卵を料理する老婆』は必見です。
管理人はポスターにもなっているこの作品がお目当てで行ってまいりました(;^_^A
スコットランド国立美術館展④ 展示構成
管理人が見に行った東京展(都立美術館)では以下の6つのセクションで構成されていました。
プロローグ、Chapter 1 ルネサンス、Chapter 2 バロック、Chapter 3 グランドツアーの時代、Chapter 4 19世紀の開拓者たち、そしてエピローグ。
時間軸に沿ってルネサンスから近代まで美術史の流れが俯瞰できるように構成されていました。
都立美術館の展示室は地下階から始まります。
入り口を入ったところでプロローグ。あいさつ代わりのスコットランド国立美術館が描かれた水彩画から始まります。そしてルネサンス、バロックと古典絵画が続きます。ここで展示されていたのがいわゆるオールドマスター、ヴェロッキオ、ラファエロからベラスケス、レンブラントなどが並んでいます。
そしてエスカレーターで地上一階に上がり「グランドツアーの時代」ここではいわゆる貴族の館に飾ってありそうな美しい貴婦人像や風景画が並びます。そして「19世紀の開拓者」は一階から二階へと続きモネやゴーガンなどフランスの画家もありましたが基本的にはイギリスの画家たちの作品。
そしてエピローグでは巨大なフレデリック・エドウィン・チャーチの『アメリカ側から見たナイアガラの滝』が待ち構えています。
スコットランド国立美術館展⑤ 主な出品作
スコットランド国立美術館展⑥ 私的感想
今回は管理人が会期末の滑り込みで見に行ったということもありますが、猛暑の平日にも関わらず多くのお客さんがいらしていました。
ここでは管理人独自の忖度一切なしの個人的感想を書いてみたいと思います。
結論から言うと…「う~ん…」といった感じでした(>_<)。
前回の展覧会報告「メトロポリタン美術館展」での報告と同様辛口にならざるを得ないというのが正直なところです。
前回はルーブル美術館にも匹敵する(?)大美術館の傑作選と銘打っていたのにも関わらす、いわゆる代表作がほとんど皆無だったという悲しい結果をご報告しましたが今回も「GREATS」と大きな看板を掲げていたにも関わらず代表作は皆無…(T_T)
「メトロポリタン美術館展」同様、出品画家名だけを見ると初めに書いたようにラファエロ、ルーベンス、ベラスケス、エル・グレコと錚々たる巨匠の名前が踊ってはいるものの画集に乗るような名作に出合うことはありませんでした。
唯一お目当てのベラスケス『卵を料理する老婆』が見られたのは良かったですが後は…
90数点の出品作にしては素描の割合が高かったり、いわゆる英国の貴族趣味的な「きれいな」作品が多く、もっと代表作ではないにしても画家の魂のこもった存在感のある作品が見たかったです。
レンブラント推しの管理人としては、レンブラントさえ見せてくれればある程度納得するのですが、今回の出品作はレンブラントの中ではあまり刺さりませんでした。
ただ全くダメダメだったかというとそういう分けでもなく少数ながら面白い作品はありました。
例えばエル・グエコの「祝福するキリスト(世界の救い主)」やルーベンスの「頭部習作」は小作ながらやはり力強さや迫力を感じましたしヴェロッキオの「幼児キリストを礼拝する聖母」は初期ルネサンスらしい気品と優しさの伝わる良作でした。
そして今回管理人お目当てのベラスケス『卵を料理する老婆』はやはり一見の価値ありです。
当時流行した「ボデゴン」と呼ばれる厨房と食材をメインに光を当てた構図で描かれており少年と老婆の対比、重厚な質感表現などはまだ二十歳にも満たないベラスケスの天才を見せつけてくれます。
また2階会場の初めに展示されていたジャン=パティスト・グルーズの「教本を開いた少年」の柔らかく血の通った肌の表現は目を見張りました。
こうしたあまり知られていないが良作との出会いはやはり実際に会場に行ってみないと得られないものだと思いますので、いわゆるこれぞ代表作!というのを期待しなければそれはそれで楽しめると思います。
ただ、管理人の愚痴になってしまいますがここ数年の入場料の相場が上がっていることやチケットの事前予約のわずらわしさ、さらに今回の猛暑が追い打ちとなって帰り際「GREATS」という看板がむなしく感じたのも事実です…
スコットランド国立美術館展⑦ まとめ
以上が今回見てきた『スコットランド国立美術館展』の総評と言いますか個人的な感想です。
ただ何度も言いますがこれはあくまでも管理人個人の感想ですのでイギリス絵画がお好きな方やヨーロッパ貴族の優雅な世界がお好きな方はもっと違った感想をお持ちになるかもしれません。
これから神戸会場や北九州会場へ行ってみようかとお考えの方には実際に足を運ばれてご自身の目で体感していただければと思います。
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