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巨人ミケランジェロの代表作を解説します!

こんにちは。管理人の河内です。

今回は88歳という当時としては異例の長寿を全うし、数々の大事業を成し遂げた巨匠ミケランジェロの代表作を取り上げ解説していきます。

ミケランジェロ作品① 「バッカス」

1496~97年 高さ203㎝

バルシェロ国立美術館

バッカスはローマ神話に出てくるお酒の神様。

それを示すようにブドウやワインを持っていることが多く、昔から絵画や彫刻によく登場する人気の神様です。

枢機卿ラファエーレ・リア―リオは、ミケランジェロの技術の高さにほれ込んで彼をローマに招聘します。

そこで注文されたのがこのバッカス像。

ミケランジェロの作品の中では珍しく艶やかに磨き上げられています。

そのためかバッカスの肉体表現がある種中性的で、艶めかしい印象を受けることから退廃的で不道徳であると避難を受け、依頼主から引き取りを拒否されました。

後に銀行家ヤコポ・ガッリが購入してその庭に飾られました。

 

ミケランジェロ作品② 「ピエタ」

1498~98年 サン・ピエトロ大聖堂

大理石 高さ174㎝

『ピエタ』とはキリスト教美術で、十字架上で張り付けにされた後、十字架から降ろされたイエス・キリストを聖母マリアが抱きかかえ、悲しみにくれる場面のことを言います。

枢機卿ジャン・ピレール・ド・ラグロワの墓所のために制作されました。

そのあまりのリアリティーと美しさに当時の人々は驚嘆し、伝記作家ジョルジュ・ヴァザーリは「奇跡だ、あたかも実物を目の前にしているような完璧な作品だ」と絶賛しています。

管理人の私も初めてサン・ピエトロ寺院を訪れた際実物を見ましたが、まさに奇跡でした。

500年も前に作られた大理石の像に、人間の作った造形物の域を超えた神秘性を感じ、しばらく呆然と立ちすくんだのを覚えています。

ちなみにミケランジェロは生涯でピエタを4体制作していますが、完成したのはこの一体のみ。

 

ミケランジェロ作品③ 「ダヴィデ」

大理石 高さ410㎝

1501~4年 アカデミア美術館蔵

フィレンツェの自主性を表す象徴として制作されました。

完成当時はヴェッキオ宮殿に面したシニョーリア広場に設置されましたが、風雨による劣化を防ぐため、現在はレプリカが置かれており、実物はアカデミア美術館に展示されています。

ダヴィデは中世以降、英雄ヘラクレスと共にフィレンツェを外敵から守る守護神でした。

一般的にダヴィデは武装して、打ち取った巨人ゴリアテの首や剣を持っている姿で表されることが多いのですが、ミケランジェロは余分なものを一切排除し、革製の投石器のみ肩越しに担がせ、逞しい理想の筋肉美と鋭い眼光のみでダヴィデの英雄性を表現しました。

この像の材料となった大理石は、その40年も前に別の彫刻家が使う予定で粗削りされたまま放置されていたものを使用して作られました。

ひび割れて丈高で幅がなく彫像には向かないその大理石をミケランジェロが理想の形に掘るというのはとても困難な仕事だったと思います。

また頭部が大きく作られていますが、それは下から見上げた時に丁度良い大きさに見えるように計算されてのことなのです。

 

ミケランジェロ作品④ 「聖家族」

1503~04年 テンペラ 直径120㎝

サンタクローチェ地区の羊毛織物業者アーニョロ・ドー二とマッダレーナ・ストロッツィの結婚式記念として描かれました。

現存するミケランジェロ最初期の絵画。

17世紀にはフィレンツェ庁舎の通称「護民官の間」に飾られていました。

この時すでにミケランジェロの特徴である筋肉美と背後から幼子を受け取ろうとする聖母マリアのひねり、伸び上がったポーズが出ています。

画面遠景には裸体の人物たち(彼らは太古の律法も何も知らない異教の民)が描かれ、その手前の溝には洗礼者ヨハネ、前景に三人の聖家族が描かれ、父ヨセフは旧約と新約の時代をつなぐ存在として威厳を持った老人として描かれています。

この三つの段階は、画面の前面に来るほど救済が近付いているということを表しています。

 

ミケランジェロ作品⑤ 「システィーナ礼拝堂天井壁画」

1508~12年 バチカン宮殿

システィーナ礼拝堂は、ローマ教皇の公邸であるバチカン宮殿にある私的な礼拝堂です。

2009年、ダン・ブラウン原作で映画化された「天使と悪魔」でも話題となった、新教皇を選出する選挙・コンクラーベが行われる会場としても有名です。

天井にミケランジェロの壁画が描かれていますが、両側壁面にはボッティチェッリやミケランジェロの師匠であるギルランダイオら盛期ルネサンスを代表する画家たちの壁画で描埋め尽くされています。

ミケランジェロが描いたのは、『旧約聖書』創世記の九つの場面を中心に、下層に預言者と巫女、キリストの祖先たちです。

 

 

ミケランジェロ作品⑥ 「アダムの創造」

1511年

システィーナ礼拝堂天井壁画の中で最も有名な場面です。

CMやデザインで幾度となく世界中で使われ、スピルバーグ監督の名作映画E.T.で使われたことでも知られていますね。

 

筋肉隆々ではあるが未だ生気がない生まれたばかりのアダム。

そのアダムに神が天から舞い降りそっと指先から生気を送り込む寸前の緊張感ある場面です。

 

 

ミケランジェロ作品⑦ 「楽園追放」

神はアダムとエバに楽園にあるどの木をの実も食べてよいとしましたが、「知恵の実」だけは食べないよう禁じました。

ある時地上で最も狡猾な蛇がイブをそそのかして食べさせたのです。

これが人間が初めて神に背いて行った罪なので原罪といわれています。

神は怒りアダムとイブを楽園から追放しました。

その場面を描いています。画面左側が木に絡みついた蛇が二人をそそのかす場面、右は天使ケルビムが剣で二人を追い立てている場面が描かれています。

 

ミケランジェロ作品⑧ 「デルフォイの巫女」

1509年 システィーナ礼拝堂天井壁画部分

 

デルフォイはギリシャのパルナッソス山の麓にあるアポロンを祭る神殿があった場所です。

ミケランジェロはキリスト教の最大の聖地であるバチカン・システィーナ礼拝堂に5人の異教の巫女を描きました。

彼女たちはキリストの出現を預言した旧約の預言者でもありました。

 

このデルフォイの巫女は5人の中でも最も乙女のように愛らしく描かれていますが、それとはアンバランスなほど彫刻的な肉体はまさにミケランジェロの真骨頂です。

 

ミケランジェロ作品⑨ 「瀕死の奴隷」

1513-16年 ルーヴル美術館蔵

教皇ユリウス2世の墓廟を飾るために制作されました。

教皇の死後、計画は縮小されため、墓廟には設置されず、ミケランジェロの友人で銀行家のロベルト・ストロッツィ所有となります。その後主を転々と変え1794年ルーヴル美術館所蔵となりました。

 

奴隷は敗者の受難の象徴、鎖で自由を奪われた魂の象徴、あるいは歴代教皇の絶対的な権力に屈して奴隷のように働かされているミケランジェロ自身を象徴しているのかもしれません。

 

しかしこの奴隷は身をよじってもだえるようなポーズをしていながら、その表情はどこか恍惚として安らかに眠っているようでもあります。

それは永遠の眠りなのでしょうか?

また奴隷の後ろには猿が彫られています。

猿は猿真似と言われるように、自然の模倣に過ぎない絵画を表す寓意として作られたと言います。

 

ミケランジェロ作品⑩ 「ブルータス」

1538年 バルシェロ美術館蔵

石膏像でおなじみのブルータス像。

美術系大学を目指す学生は必ず2度3度と描かされる人気の石膏像の原型です。

どっしりとした重厚な感じで、一見動きのないポーズに見えますが、グッと首を引きつつ捩じりながら左方向をにらみつける静の中に動がある難しい像で、私も受験生の頃はずいぶん痛い目を見せられました(涙)

さてこの像のモデル、ブルータスですが、あのローマ帝国のカエサル(シーザー)暗殺のセリフで有名な「ブルータス、お前もか!」のブルータスではなくその親戚だとする説もあります。

古代ローマ独特の衣装を纏い、その下にはミケランジェロらしい筋骨隆々とした体躯を感じさせますが実は体は弟子が作ったもの。

これを作った当時ミケランジェロは多忙を極め頭部だけを彫ったのですが、その頭部もよく見れば粗削りでノミの跡が残っています。

しかしそれが逆にブルータスの精悍さを増しているようにも見えます。

ミケランジェロ作品⑪ 「最後の審判」

1541年 14.4m×13.2mバチカン宮殿 システィーナ礼拝堂

この世終わりにキリストが天から再臨し、生者死者を問わずすべての人間に最後の審判を下す場面。

聖書「マタイによる福音書」にある「最後の審判」を主題として描かれました。

 

この14メートル四方に及ぶ大壁画中に、総数391体にものぼる裸体が筋骨隆々に描かれています。

 

ここに至って若き日のピエタ像のような解剖学的正しさは失われ、ミケランジェロ自身の創作によって、理想の裸体が表現され圧倒的な迫力を醸し出しています。

(女性を描くときでも男性にポーズを取らせたといいますから納得です。)

 

中央キリストの腕を振り上げたポーズに誘われるように、画面全体が時計回りに渦を巻いているような構図です。

キリストの左側(画面向かって右)は悪人が地獄に落とされる場面、右側が善人が天国に上っていく様子が描かれています。

 

英語でrightが「右」であり「正しい」という意味を持つのも聖書の「マタイによる福音書」の記述から来ているようです。

 

ミケランジェロは聖母以外すべての登場人物を全裸で描きましたが、教皇側から神聖な場所にふさわしくないと批判をうけました。

しかしミケランジェロは取り合わず彼の死後、他の画家によって腰布や衣服を描き加えられました。

ようやく20世紀後半になってそれらは洗い流され現在ではほぼオリジナルの姿を見ることが出来ます。(一部残された個所もある)

 

この大壁画を依頼されたとき、ミケランジェロは一度は自分は彫刻家であるからと断りますが、半ば強制的に描かされました。

その時ミケランジェロはなんと61歳。

それから5年の歳月をかけてほぼ一人で完成させたのです。

生皮剥ぎの刑で殉教した聖バルトロマイが手にしている抜け殻の皮が、教皇の絶対的権力によって逃れられないこの難事業を押し付けられ、憔悴しきったミケランジェロの自画像だといわれています。

 

 

ミケランジェロ作品⑫ 「モーセ像(ユリウス2世墓碑)」

1542~45年 ローマ サン・ピエトロ・イン・ヴィンコリ聖堂

 

この像はユリウス2世墓碑を飾る彫刻群の中央に設置されています。

旧約聖書の十戒で有名なモーセの像です。

出エジプト記に記載されている、シナイ山で神から与えられた十戒が記された石板を右わきに抱えています。

頭部の角のようなものは、ヴルガタ訳の「出エジプト記」の描写から「輝くという」意味のヘブライ語は「角」という意味もあり、またモーゼの顔が光り輝いていたことを角で表現しているとの説もありそれらを表現したものです。

威厳と風格に満ちた老人で表現されていますが、やはりそこはミケランジェロ、年齢に似合わず血管が浮き出るほどの筋肉は、これからユダヤの民を約束の地へ導こうとする強い意志を、頑健な体躯をもって表現しているかのようです。

 

1505年に計画されてから幾度も計画変更を繰り返し、1545年に設置完了しました。

下段にはこの世のキリスト教の生と徳を、上段には天上でのその原型を具現化している。

 

ミケランジェロ作品⑬ 「ロンダ二―二のピエタ」

1564年 ミラノ・スフォルツェスコ城

 

ミケランジェロは生涯に4つのピエタを制作しており、その最後のもの。

始めに設置されていた邸宅の名前から「ロンダ二―二のピエタ」と呼ばれています。

88歳となった老巨匠が、亡くなる数日前までノミをふるっていたと言われる未完の遺作です。

未完ではありますが、そこには若い頃の精悍さや力強さはありません。

 

聖母マリアは若い頃作られたサン・ピエトロ大聖堂のものと比べると、実際の年齢に近いであろうと思われるよう作られ、芝居がかった要素はありません。

逆に漂いただただ息子の死を悼んでいる静けさがあります。

この像から感じる穏やかで深い精神性は、長年にわたる大事業を圧倒的な力と技で想像し続けてきた一人の老人が達した境地なのでしょう。

 

管理人も何度か実物を見ましたが、とても弱々しくイエスと聖母が一体となり、お互いを支え合うような感じを受けました。

 

 

【その他のミケランジェロに関するお勧め記事】

・『神の如き』巨匠ミケランジェロの作風と生涯を解説します!

・巨人ミケランジェロの生涯を詳しく解説します!

・ミケランジェロにまつわる様々なエピソードをご紹介します。

 

 

 

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