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 【ルネサンス絵画の父】ジョット・ディ・ボンドーネの代表作品を解説します!

今回は“ルネサンスの父”ジョット・ディ・ボンドーネの代表作を解説しながらご紹介していきたいと思います。

 

ジョットの作品は、残念ながら修業時代や初期の作品はほとんど謎に包まれており、ジョットの作品だと確定しているものもそう多くはありません。

しかしジョットが画家として大きく名を成したのがアッシジのサンフランチェスコ聖堂の連作壁画でした。

アッシジの広大な聖堂内部は、ジョットだけでなく多くの芸術家たちと分担して制作されましたが、ここでジョットが担当した『旧新約伝』によってジョットの評価は高まり、その後の大連作『聖フランチェスコ伝』二十八場面を委嘱され画家としての地位を確固としました。

アッシジのサンフランチェスコ聖堂

そして後のパドヴァのスクロヴェー二礼拝堂(別名アレーナ礼拝堂)でジョット芸術は頂点に達します。

このスクロヴェー二礼拝堂壁画こそジョットの芸術の全てが詰まっているといっても過言ではありません。

なのでここで取り上げる作品もこの連作壁画がほとんどとなります。

スクロヴェー二礼拝堂内部

 

ジョットの代表作①『 小鳥への説教 』

ジョットの代表作①『 小鳥への説教 』

1297-300年ごろ  270×230㎝ アッシジ サン・フランチェスコ聖堂

 

大連作である『聖フランチェスコ伝』の中で最も有名な場面です。

聖フランチェスコの考えは、神の創造物の全てを愛で包むことでした。

こうした教えからこの絵では小鳥たちにも聖フランチェスコが教えを説いている有名なエピソードが描かれています。

青空の下、小鳥たちに熱心に語りかける聖フランチェスコ。そしてそれを驚きをもって見る弟子。全連作中もっともシンプルな構図でありそれだけにテーマがはきっりと伝わります。

残念ながら小鳥たちの部分はセッコ技法で描かれたため剥落と変色が激しくなっています。

セッコ技法⇒ジョットの画風と技法をご覧ください。

 

 

 

ジョットの代表作②『オニサンティの聖母(荘厳の聖母) 』

ジョットの代表作②『オニサンティの聖母(荘厳の聖母) 』

1310年ごろ  325×205m フィレンツェ ウフィツィ美術館蔵

署名も厳密は記録も残ってはいませんが、ジョットの作品として広く認められた大きな祭壇画です

もともとフィレンツェのオニサンティ(諸聖人)聖堂の主祭壇を飾っていたことからこう呼ばれています。

前景で跪く天使たちは聖母を象徴する白い百合とバラの入った花瓶をもっています。

伝統的なビザンチン様式的な装飾的で威厳ある存在感を保ちつつもそれぞれの表情や演劇的ポーズはジョット特有のものです。

ジョットの代表作③『 ヨアキムの夢

ジョットの代表作③『 ヨアキムの夢 』

1303~05年ごろ 185×200㎝ パドヴァ スクロヴェー二礼拝堂

ヨアキムとはあまり馴染みのない名前ですが、聖母マリアのお父さんです。

スクロヴェー二礼拝堂連作壁画の序章をなす《ヨアキム伝》は聖母の両親の話から始まります。

ここではヨアキムの妻が聖母を身ごもったことを天使が夢に現れ告げようとする場面です。

娘の聖母マリアの『受胎告知」と同じことがその父親にも起こっていたんですね。

ヨアキムは、ジョット特有の四角ばったフォルムと衣服の皺がぴったりと沿っておりそれがさらに力強い量感を感じさ、逆に天使は画面に飛び込むような素早い動きを持たせ両者を対照的に配置させています。

 

 

ジョットの代表作④『 エジプトへの逃避 』

ジョットの代表作④『 エジプトへの逃避 』

1303~06年ごろ 183×183㎝ パドヴァ スクロヴェー二礼拝堂

ヘロデ王がベツレヘムの子どもたちを皆殺しにすると知って聖家族はエジプトへと逃げていく場面です。

幼いキリストを抱いた聖母と父ヨセフ、彼らを導く天使のほかに産婆のサロメとヨセフの三人の息子たちが描かれています。

安定した3角形の構図の中心でロバに乗る聖母子は逃避中というより凱旋する騎士のように凛とした表情で描かれています。

 

 

ジョットの代表作⑤『 東方三博士の礼拝 』

ジョットの代表作⑤『 東方三博士の礼拝 』

1304~06年  185×200㎝  スクロヴェー二礼拝堂

こちらも西洋絵画では定番の聖書の一場面です。

救世主を求めて東方から3人の博士(マギ)がベツレヘムの家畜小屋で生まれたばかりのイエス・キリストを訪ね黄金、乳香、没薬を捧げています。

それぞれがつける衣装の煌びやかさ、エキゾチックな雰囲気が晴れやかで祝祭的雰囲気を一層強めています。

空にはキリストの誕生を知らせる《ベツレヘムの星》が描かれていますが、この不気味に輝く彗星は実は1301年のハレー彗星を描いたものと言われています。

これは大事件として当時の記録に燃える彗星が「煙の尾を長く引きずった」という記載があるほどでジョットも実際のハレー彗星を見たのかもしれません。

 

 

 

ジョットの代表作⑥『 カナの婚礼 』

ジョットの代表作⑥『 カナの婚礼 』

パドヴァ スクロヴェー二礼拝堂

成人したキリストが公衆の面前で行ったとされる最初の奇跡の場面です。

ガリラヤの町カナで行われた婚宴に弟子たちとともに招かれたキリストは、宴の途中で葡萄酒がなくなったので、給仕に6つの石甕に水を満たさせます。

するとこの水が突如葡萄酒に変わったというのです。

画面中央には主役の花嫁が正面を向いて座り、左側にキリストや聖母マリア、使徒たちが座っています。

キリストは右下に並べられた甕に向かって右手をそっと上げ、奇跡を起こしています。

 

 

ジョットの代表作⑦『 裏切られたキリスト 』

ジョットの代表作⑦『 裏切られたキリスト 』

1303~06年ごろ 183×183㎝ パドヴァ スクロヴェー二礼拝堂

キリストの穏やかな横顔に対し、裏切り者のユダはいかにも粗野で悪人面をした表現で描かれています。

兵士たちが自分を逮捕しにくるにかまわず毅然とするキリストの後方では、聖ペテロが復讐のために大司祭の従者マルコスの耳を切り落としています。

師を裏切ったことに許しを請うユダ、それを悲しげにも冷静にも見えるイエスの瞳の対比が画面中央で緊張感を生み、周りの群衆の雑踏から切り離されそこだけ時間が止まったかのようです。

 

ジョットの代表作⑧『 哀悼 』

ジョットの代表作⑧『 哀悼 』

1303-06年ごろ  183×183㎝ パドヴァ スクロヴェー二礼拝堂

これもアレーナ礼拝堂の壁画の中で有名な作品です。

多くの人物や空を舞う天使たち、彼らはみな思い思いのポーズで悲しみを表していますが、背景の岩場の線も含めすべてがキリストの顔に焦点が集約されるように配置された構図です。

穏やかに眠るイエスと悲しみに暮れる聖母の顔をくっつかんばかりに近づけ、その対比効果によってより哀しみのテーマ性が強く感じさせています。

 

 

ジョットの代表作⑨『 キリストの復活とノリ・メ・タブゲレ(我に触れるな)』

ジョットの代表作⑨『 キリストの復活とノリ・メ・タブゲレ(我に触れるな)』

1303-06年ごろ 185×203㎝ パドヴァ スクロヴェー二礼拝堂

ジョットの革新的な技法のひとつが“連続する物語”の手法ですが、その最たる例がこの作品に示されています。

これは墓から蘇生したキリストをマグダラのマリアが目撃するシーンですが、画面が左から右へと時間が動きドラマが進行しています。

左端の天使が指さす先にマリアとキリストが配置され、キリストは左側を画面の端で切り取られることでこの場面の外へと進み、その次の作品へと物語がつながっていくことを予感させているのです。

そしてここでも『哀悼』と同じように背後の岩山の稜線がキリストへとつながり見る者の視線を誘い、二つの場面が継続していることを暗示しています。

 

 

ジョットの代表作⑩『 聖母子 』

ジョットの代表作⑩『 聖母子 』

1320~25年 85.5×62㎝ ワシントンナショナルギャラリー

この作品は板に描かれたテンペラ画です。

古い記録によるとサンタクローチェ聖堂のトシンギ・エ・スピネッリ礼拝堂かプルチ・エ・ベラルディ礼拝堂を飾る5連祭壇画の一部と考えられています。

ゆったりとした優雅な曲線と柔らかな肉付け、穏やかな表情が魅力的です。

 

 

ジョットの代表作⑪『《聖フランチェスコ伝》インノケンティウス3世の夢 』

ジョットの代表作⑪『《聖フランチェスコ伝》インノケンティウス3世の夢  』

1297~1300年ごろ 270×230㎝ アッシジ サンフランチェスコ聖堂上堂

これは教皇インノケンティウス3世の夢の中に、危機に瀕したローマ教会の救済者として聖フランチェスコが出現したという場面を表しています。

「教皇はラテラーノ聖堂が崩壊しかかっており、一人の慎ましく貧しい男が、それを自らの肩にのせて倒れないように支えているのを見た。」

そして教皇は言いました。『この男こそ、その行いと教えによってキリストの教会を支える人物である』

この夢を見て、教皇はフランチェスコが結成した『小さき兄弟団』の会則を認可する決意をしました。

画面左ではラテラーノ宮殿(=教皇の座所がある)の中で眠る教皇。そして画面左が彼の夢の中です。

大きく傾いたサン・ジョヴァンニ・イン・ラテラーノ聖堂(教会の象徴)を、肩に担ぐように支えているのが聖フランチェスコ。

ここでは堂々とした体躯で威厳に満ちた英雄的なイメージで表現されています。

 

【ジョットに関するその他のおすすめ記事】

・《ルネサンスの先駆者》ジョット・ディ・ボンドーネの生涯と作風を解説します。

・《フィレンツェ絵画の父》ジョット・ディ・ボンドーネの生涯を詳しくご紹介します!

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