こんにちは。管理人の河内です。
今回は鉛筆デッサンによる“ガラスの描き方”の解説2回目になります。
前回はガラスをデッサンする上でのポイントを解説してきました。
まだそちらを読んでいない方は、ぜひこちらをご覧ください。⇒【基礎デッサン・ガラスってどう描くの?】ガラス瓶の描き方-その①
この記事では実際の制作行程を追いながら、より具体的に解説していきますので是非ご参考にしてだければと思います。
なおこの記事と同じ内容を動画でもご覧いただけますのでよろしければそちらもチェックしてみてください。
目次
ガラスの描き方 手順と実践
前回は、ガラスを描く上でのポイントを4つあげてきましたが、ここからは実際にどう描くかを具体的な手順を追って見ていきます。
モチーフはこちらのビール瓶になります。
なおこれからあげるポイントは、金属製品などを描くときと通じることが多いので、そうしたものを描くときのためにも参考にしていただければと思います。
ガラス瓶の描き方①
描きだしはガラスに限らずほとんどのものが同じ行程です。
まずは鉛筆を長く持って、寝かせるようにして大まかに形をとっていきましょう。
この時は画面への入れ方、余白のバランスなど全体の構図を見ます。
すこし描いては離れて見る、を繰り替えしましょう。
ガラス瓶の描き方②
今回のモチーフは色の着いたガラス瓶なので、大まかに形が取れたら一度全体に色を付けます。
この時鉛筆は2~4Bを使っています。
全体に色がついたらティッシュペーパーでこすり込みます。
ガラスや金属などを描く場合は、ツルツルした質感を出すために、タッチや画用紙の目(表面の凹凸)をつぶしていきます。
ティッシュで擦ると全体がぼやけてしまいますので、消えそうになった線はもう一度描き起こしておきます。
こうした行程を何回か行いますので初めの段階であまり形を細かいところまで描かず(描いても消える)、随時描きながら修正していこうとすることが大切です。
多少の狂いはそれほど気にする必要はありません。
もう一度線をくっきりと描き起こした状態。
ガラス瓶の描き方③
ここで一旦立体感を感じさせるために左右に明暗差をつけてみます。
ガラスの場合透明なのでくっきりと陰影が出ないのですが、あえてつけることで円柱としての立体感を出しておきます。
この作業も描き込みが進むにつれてまたぼやけていってしまいますので、制作中盤、後半にも入れてあげた方がよいでしょう。
ガラス瓶の描き方④
ここからが今回の本番。
描き込みによってガラスの質感表現に入っていきます。
特に矢印の場所のようなかたちの端は、ガラスが厚みを持っているため光の屈折が大きく、また明暗のコントラストも強いので特徴を出すための描きどころです。
こうした場所は、鉛筆の先はしっかりと尖らせて立てて描きます。
多少大袈裟になって模様のようになって構わないので丁寧にくっきりと描き込みましょう。
描いたところを擦る⇒また描くという行程を小さな範囲でも繰り返します。
こうすることでトーンに深みが出て、描き込みで浮いたところも馴染んできます。
ティッシュでは擦れない細かい部分は、綿棒やサッピツ(擦筆)を使って丁寧に擦ります。
光の反射している場所は、練り消しゴムを細くとがらせて抜いていきます。
この時は消すというより白い鉛筆で描くという意識で。
光が強く当たっているハイライト部分は実際見えているより強く(クッキリと)抜いていきます。
鉛筆で描くのと同様、エッジをシャープに抜くことが大切です。
これは慣れるまで難しいと思いますので、うまく抜けない場合はまたサッと鉛筆で色を付け再度やり直しましょう。
この時の練り消しゴムの形状は、横に押しつぶして平べったくして使います。
慣れないうちや上手くシャープに白く抜けない場合は、プラスチック消しゴムをカッターで切って使っても大丈夫です。
ガラス表面に映った光の反射だけでなく、透けて見えるラベルの裏側、床と壁の境目などもよく観察してひとつひとつ描き込みます。
今回はガラスの描き方について書いていますので、ラベルなどについては詳しく触れませんが、ガラスの映り込みと同じように丁寧に描写していきます。
描写は加筆するプラスの作業と、練消しゴムで白く取っていくマイナスの作業の両方を使って描いていきましょう。
モチーフが置かれているテーブルと、壁の境目も描きます。
ガラス越しに屈折して見える床のラインと、直接見えるラインの両方を描くことで、違いを際立たせ透明感を表現します。
ガラス瓶の描き方⑤
完成。
映り込みや透けて見える部分が強く出過ぎているところはもう一度サッピツなどで擦って馴染ませます。
逆にアクセントになるハイライト、ガラスが厚くて光が入らずかなり黒く見える部分はさらに加筆するなど明暗のコントラストを調整して完成です。
ガラスの描き方 まとめ
2回にわたってガラスの描き方を解説してきましたがいかがでしたか?
ガラスの質感や透明感が上手く描けたら嬉しいですよね。
ここではテクニカルな部分をピックアップして解説してきましたが、実は最後にもう一つとても大切なことを書いておかなければなりません。
それは形をきっちりと取らなければならないということです。
ガラス質のものは、ビンであったりコップであったりとほとんどすべてが工業製品です。つまり幾何学的に成型されたものなのです。
そうしたものは、左右の対称性であったり、水平・垂直線や平行線であったりと質感以前に形の狂いが目立ちやすいモチーフです。
ですからここまでご紹介しいたようなテクニックが上手くできても形が歪んでいたりすると元も子もありません。
こういうと「じゃあ、最初の段階できっちりと形を取らなきゃ」と思われるかも知れませんが、前半部分で書きましたように擦る作業や細かく描写する際に、知らず知らずのうちに、ちゃんととったはずの形に狂いが生じてしまうものなのです。
ですから形は正確でなければなりませんが、「初めに一度取れば大丈夫」とか、「初めからちゃんととらなければいけない」と決めつけず、出だしは70点ぐらいを目標に描き進め、描写と修正を繰り返して完成の時点でいかに100点に近づけるかという風に考えていただければと思います。
また、形はクロッキーやスケッチなど別の仕方で素早く取る練習も同時に行っていただければさらに早く上手く描けるようになりますので是非練習してみてください。
ガラスの描き方~動画解説
この記事の内容はyoutube動画でも解説しています。是非そちらもご参考にしてみてください。
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