こんにちは。管理人の河内です。
今回は現在東京上野にある国立西洋美術館で開催中の『プラド美術館展』を見て来ましたのでそのレポートをしたいと思います。
【展覧会名】
「日本スペイン外交関係樹立150周年記念」
プラド美術館展 ~ベラスケスと絵画の栄光~
2018年2月24日~5月27日 国立西洋美術館
https://artexhibition.jp/prado2018/
同館でプラド美術館展を開催するのは三度目になるそうです。
目次
プラド美術館ってどんなとこ?
プラド美術館はスペインの首都マドリードにある世界屈指の大美術館です。
有名なベラスケスの『ラス・メニーナス』があることでも知られていますね。
プラド美術館は、1819年に歴代のスペイン王室がコレクションした膨大な数の美術品を核に設立されました。
中でも17世紀の至上最大のメガ・アート・コレクターであったフェリペ四世は、3000点にものぼる作品を収集し、彼の宮廷画家であった巨匠ベラスケスをはじめヴェネツィア派のティツィアーノ、フランドルのルーベンスなど各国から膨大な質と量の作品を収集したのです。
ベラスケスは宮廷画家ながらこのヨーロッパ各地に名作を求める使者として参加し、先達の巨匠たちから多くを学びました。
こうしてフェリペ四世(↑)の治世下、スペイン美術は黄金期を迎えました。
彼は政治家としてはほとんど評価されていませんが(;^_^A
展覧会の概要
今回の展覧会では「芸術」「知識」「神話」「宮廷」「風景」「静物」「宗教」「芸術理論」の8つの章で構成されテーマに沿って作品が並んでいます。
ベラスケスを始めムリーリョ、スルバラン、リべーラらスペイ人ン画家だけでなくティツィアーノ、ブリューゲル、ルーベンスなど国外の画家の作品合計61点が展示されています。
管理人が今展で印象に残ったのはルーベンスの作品です。絶筆となった『アンドロメダを救うペルセウス』、『聖アンナのいる聖家族』などルーベンスの技量が遺憾なく発揮されていました。
昔、管理人が恩師に「歴史上デッサンが一番うまいのは誰でしょう?」と聞いたことがありました。その時恩師は「ルーベンス」と言われ、その時はあまり実感が湧かなかったのですが、後になるほど私自身もそう感じるようになりました。
あの流れるような線とタッチの持つ上手さと表現力はそれだけで魅了され感動します。
『アンドロメダを救うペルセウス』は、最後は本人が仕上げることは叶わず別の画家ヤーコブ・ヨルダーンスによって仕上げられたそうですが、その見事な技術ははっきりと見ることができました。
ルーベンスは、かの有名な名作アニメ『フランダースの犬』で、主人公の少年ネロが死の間際に見た教会の祭壇画を描いた画家と言えばお分かりになる方も多いのではないでしょうか。“王の画家にして画家の王”とまで謳われたネーデルランド(現在のベルギー)・バロック最大の画家です。
今回はそのルーベンス作品が3点出品されています。
今展覧会では、こうした17世紀の美術を中心に紹介しています。
学生時代に世界史で習った方も多いと思いますが、当時ヨーロッパでは16世紀にカトリック(ローマ)教会の腐敗に対して起こったプロテスタントの宗教改革によって、カトリックは窮地に立たされていました。
カトリック教会は、復権を目指して更なる布教のために、絵画は聖書の物語を分かりやすく庶民に伝えるツールとして使われました。このためこの時期の絵画は宗教色が強く、私たち日本人にはちょっと取っつき憎い印象があります。
またそれ以外にも、宮廷文化を伝えるものや、静物画などリアルに表現されていますが、どうしても暗い印象がありますので好き嫌いの分かれるところだと思いますが、興味のある方は是非足を運んでみてはいかがでしょうか?
今展覧会は5月27日まで西洋美術館で公開された後、兵庫県立美術館へ巡回するそうです。(6月13日~10月14日)
プラド美術館展 出品作品
ペーテル・パウル・ルーベンス 『アンドロメダを救うペルセウス』 1639~41年
ペーテル・パウル・ルーベンス 『聖アンナのいる聖家族』 1630年
ディエゴ・ベラスケス 『王太子バルタザール・カルロス騎馬像』
ディエゴ・ベラスケス 『マルス』 1638年
ディエゴ・ベラスケス 『バリェーカスの少年』 1634~35年
【ベラスケスについてはこちらの記事で詳しくご紹介していますので是非ご覧ください】
・『画家の中の画家』スペイン宮廷画家ベラスケスをご紹介します。
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