こんにちは。管理人の河内です。
今回は現在、東京六本木の国立新美術館で開催中の『ルーブル美術館展-肖像芸術―人は人をどう表現してきたか』を観てきましたのでそのレポートをしてみたいと思います。
関東地方は観測史上最速で梅雨が明けてまるで真夏のような暑さの中、この日も多くのお客さんが観に来られていました。
目次
『ルーブル美術館展』展覧会概要
http://www.ntv.co.jp/louvre2018/
会場:国立新美術館 企画展示室1E 東京六本木
会期:2018年5月30日~9月3日 毎週火曜日休館(8/14は開館)
開館時間:10:00~18:00
ルーブル美術館ってどんなとこ?
まず初めに「ルーブル美術館」そのものについて軽くご紹介しておきましょう。
ルーブル美術館は、フランスのパリにある世界屈指の大美術館です。世界一来館者の多い美術館であり毎年日本人も多くの方が訪れています。
美術に全く興味のない方でも『モナ・リザ』のある美術館と言えばお分かりになるかもしれませんね。パリに旅行された方は、一度は必ず訪れる場所ではないでしょうか。
このブログでご紹介している作品も多く所蔵され、教科書で見たことのある絵画や彫刻がオンパレードに並んでいます。
セーヌ川の左岸建つこの建物は、元々は『ルーブル宮殿』として使われていたもので世界遺産にもなっており、有名な小説『三銃士』の舞台にもなっています。
その収蔵品数は38万点以上にのぼり、有史以前の出土品から19世紀までの美術品3万5000点近くが展示されています。
時間のない観光客にとってこの膨大な数の作品をすべて見るのはとても無理なので、館内には2時間バージョンとか1日バージョンとか滞在できる時間に合わせて『これだけは見るべし!』的な案内書が置いてあります(もちろん日本語版もあります)。
『ルーブル美術館展』の見どころ
これだけ人気があり、所蔵品も膨大な数があるルーブル美術館、そのためか東京では数年に一度のペースで『ルーブル美術館』が開催されていますね。
その都度それぞれ展覧会にはテーマが設けられますが、今回は『肖像芸術―人は人をどう表現してきたか』というのがテーマです。
有史以来、ひとは何かを表現しようとしたとき、その最も身近な人間自身を形にしてきました。
今展覧会では3000年以上も前の古代メソポタミアや古代エジプトの時代に作られたマスクや彫像から始まり19世紀ヨーロッパの絵画、彫刻までを展示しています。それらを通してヒトを表現した『肖像』作品が担ってきたその時々の社会的役割や表現の移り変わりを見ることができます。
ルーブル美術館は8つの部門(古代オリエント美術・古代エジプト美術・古代ギリシャ/エトルリア/ローマ美術・イスラム美術・絵画・彫刻・美術工芸品・素描/版画)に分かれていますが、今展はその8部門共同の企画であり、それぞれを代表する作品110点が展示されています。
こちらは今展覧会の目玉、ヴェネツィア派の巨匠ヴェロネーゼの『美しきナーニ』(↓)
濃い青の豪華なドレスに薄いヴェールをまとい、黄金の装身具を着けた若い貴族らしき女性の肖像ですが、説明文によると、特定の人物の肖像画ではなくある種の理想化された象徴としての女性だそうです。
私的感想
今回の展覧会を見ての率直な感想は、美術作品鑑賞としては…残念ながらあまり良いものは来ていません(あくまでも個人的感想です(;^ω^))。
管理人的には、前半のエジプトやメソポタミア文明、ローマ時代のマスクや彫像などが面白かったのですが、肝心の油絵については大好きなボッティチェリがありました。しかし奇麗なんですがなんとも気の抜けた感じがしてキャプションを見ると「ボッティチェリ、工房」とあって納得。
その後「おっ、有名なダヴィッドの『マラーの死』じゃん!」と思てみているとこの作品は、あまりにも良く出来ていたのでプロパガンダ(宣伝)として活用するために「いくつも複製されており、そのうちの一点」ということでやっぱりがっくり。
あとベラスケスも一転ありましたが本人作を模写したもの…
なんだか言葉は悪いですが有名どころはB級品ばかりという感じでした。
唯一良かったのはレンブラントの作品『ヴィーナスとキューピッド』。
レンブラントの記事にも描きましたが管理人自信が「レンブラント押し」なのでそこは差し引いておかなければならないと思いますが、晩年の作品独特の“やさしさ”があり見惚れてしまいました。こちらはたぶん真筆…(のはず(^^;))
ただ今回のテーマを振り返ってみると、『人は人をどう表現してきたか』ということを見せてくれるという意味では全く嘘はないわけで、ルーブル所蔵品!と聞いてイコール一流品が見られる!という早合点がなければ楽しめると思います。
管理人自信が興味深かったのが、後半ナポレオンの肖像を集めたブースがあったのですが、そこを見ていかにナポレオンが現在でいう『印象操作』をうまく使って自信のブランド化に腐心していたかが改めて分かったことですね。
実際それが功を奏してフランス皇帝になりましたし、現在の政治家と変わりないということですね。
直接美術とは関係ないと思いきや、いわゆるイメージ戦略の最たるものとして、プロパガンダとして美術が使われてきたか、、いや逆ですね、美術とはもともと宗教的な儀礼の一要素として生まれましたが社会が大きくなるにつれ権力を持った者はその最初期の段階から美術を利用し、自信を権威付け、人々を惹きつけてきたかということが改めてよくわかったという点で、『いい作品をみたなぁ』という展覧会ではなくて“美術”が果たしてきた役割みたいなものを改めて考えさせてくれる展覧会でした。
9月からは大阪市立美術館に巡回予定です。
会期:2018年9月22日~2019年1月14日
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