こんにちは。管理人の河内です。
今回は人物を描くにあたって最も重要かつ難しいパーツである「目」に焦点を当ててその描き方や、描く前に押さえておきたいポイント、さらに描いていく上での注意点などを詳しく解説してみたいと思います。
「目は口ほどにものを言う」という言葉や最近では「目力(めじから)」という言葉もあるように
目は単なる感覚器官ではなく、その人物の性格や感情といった抽象的なものまでを語る(語らせる)魅力あるパーツです。
人物を描く上でこれほど重要なパーツはないといっても過言ではないほど重要な「目」。
それだけに体のパーツの中でも最も難易度が高く、苦労して練習してもなかなか上手く描けない方も多いのではないでしょうか。
今回の記事ではその描き方に迫る前に、まずは頭に入れておいていただきたい重要なポイントを取り上げて解説していきます。
目次
目の描き方 ポイント① 感情を抑えて「立体」としてとらえる
目を描く前にしっかりと頭に入れておいていただきたい重要なポイントのまず初めは「目は球体である」ということです。
「そんなこと当たり前でしょ?」と誰もが思われると思います。
しかしこの当たり前のことを、いざ絵に目を描こうとすると結構見過ごされがちなのです。
人物画が難しい理由はいくつもあるのですが、その大きな理由の一つが顔を描くとき、人はどうしても顔が「似ている」「似ていない」とか「優しそう」「怖そう」などといった個人の感覚的あるいは感情的な面でとらえがちだということです。
この「感情」「情緒」と言っても良いかもしれませんが、これが絵を描く上でとてもやっかいなのです。
なぜならこの情緒によって私たちの対象をとらえる「冷静さ」(客観性といってもいいと思いますが)が奪われてしまうからです。
「感情的」な判断や思い込み(描き手の持っているイメージ)が、いざ顔を描こうとなったとき、こうした「目は球体である」という当たり前の「客観的事実」さえも私たちの頭から吹き飛ばしてしまうのです。
よく美大生や美大受験生が石膏デッサンをしているのを見たことがあると思いますが、あれは何をしているかというと、複雑で表情豊かな「人物」を、石膏とうい無機質な「量塊」とすることで、いわゆる「情緒」を排して単なる立体としてとらえる訓練をしているのです。
例えば外科の医師が、手術をするとき「痛そうだな」とか「かわいそう」だとかいう心理をもっていては冷静な処置はできませんよね。
医者は冷静に状況を見て客観性に基づいて判断し処置を行うわけで、その時の患者さんに「優しい人」だとか「悪い人」といった私的な判断はあっては困るわけです。
絵を描くときも少なからずこの「情緒」に流されず「目」も一つの立体として見ているか・というのはとても重要なポイントになるわけです。
目の描き方 ポイント②目はへこんだ奥にある
ご存じのように私たちの頭の中にはこのような頭蓋骨が入っています。
そして目の部分はぽっかりと空洞になっていて、そこに眼球がすっぽりと収まっているのです。
なので西洋人に比べてのっぺりとした感のある私たち日本人も、目は顔面から一段へこんだ位置にあり、さらにその上には瞼がありますので、実は目というのはへこみの中にあって「陰の中にある」ということを覚えておいてください。
それが顕著にでるのがいわゆる「白目」です。
言葉でいうと文字通り白目は白いのですが、実は「暗い」ということは覚えておいて頂きたいポイントです。
目の描き方 ポイント③目はどんぐり型ではない
次に頭に入れておいていただきたいのは、目はいわゆるどんぐり型(ラグビーボール型)ではないということです。
これはどういうことかというと、多くの初心者の方が持っているイメージというか思い込みみたいなものなのですが目を左右対称や上下対称と考えていたり、中心部分が一番膨らんでいると思っている方が意外と多いのです。
こんな感じ。
しかし実際は角度によって違いますが下図のように正面から見た場合、四角形あるいは六角形ととらえた方が近いのです。
ポイントとしては上側のラインは目頭から急激に角度が上がり上瞼の最も高い地点に達し、目じりに向かって緩やかに下がっていきます。
下のラインは目頭から若干さがってほぼ水平に目じりに向かいます。
(もちろん個人差や表情によって変化します)
こうした基本形を頭に入れておいておくだけで、実際の目を見たときもとらえ方が変わると思います。
目の描き方 ポイント④ 黒目
黒目の部分は二重になっており中心部分が瞳孔、その周りが光彩と呼ばれる部分です。
一般的には瞳孔の方が色が濃く、光彩の方が色が薄く見え、これを描き分けるだけでもリアルさがぐんとアップします。
また光彩の部分は、特に白人の方は様々な色があり変化に富んでいますので、しっかりと観察してみることが重要です。
もう一つ付け加えておくと、黒目は瞼で隠れている部分がありますので、よほど目を見開いていないと図1の様に満丸く見えることはありません。
目の描き方 ポイント⑤ 目そのものだけでなく、瞼も一緒に描く
これもよくやりがちなことなのですが、目を良く描くためには目そのものだけでなく上下の瞼も一緒に描かなくてはうまく自然な目には見えません。
ポイントの①でも書きましたように目を立体としてとらえることはとても重要で、球体としての眼球は実はそのほとんどが瞼の下に隠れているからです。
目という一つのパーツは瞼まで含めて考えるということがとても重要です。
目の描き方 ポイント⑥ アウトラインを濃く描かない
最後に目のアウトラインですが、これを濃く描かないということです。
アウトラインに沿ってまつ毛がありますので、顔を小さく描く場合、目も同時に小さくなってこのまつ毛や影によって濃い線として見えるかもしれません。
いわゆるマンガやイラストの場合はこれをしっかり描くことでその人物の個性や表情が豊かに強調されるわけですがここで扱う絵画としてのリアルさを求めるなら線を強調するのは禁物です。
相対的には上のラインは上瞼の影になりますので、より濃く見えますが下のラインはほぼ瞼の色と近い色、明るさで表現する方が自然な目に見えます。
目の描き方 まとめ
いかがでしたか?
今回は目を上手く描くために、初めに頭に入れておいていただきたい事柄について解説してみました。
いわゆる見た目(感覚)や思い込み(感情)にとらわれず、しっかりと立体としての“構造”を把握しておくことがとても重要なのですが、いざ紙やキャンバスに向かってモデルさんや写真を見るとそれが吹き飛んでしまうところにその難しさがあります。
ですのでここは何度も描いては確認するということを繰り返し、手と頭にしっかりと目の構造を刷り込んでいただくしかなところではありますが、ここでご紹介したポイントをその都度思い出していただければ幸いです。
次回記事ではこれらをもとに、具体的手順を追いながら描き方の解説をしていきたいと思いますので是非そちらもご覧ください。
⇒【目の描き方】②実践編 目を上手に描くために抑えておきたいポイントを解説!
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