こんにちは。管理人の河内です。
今回は東京・上野にある『上野の森美術館』で開催中の『フェルメール展』を見て来ましたのでその報告をしたいと思います。
先月の『ムンク展』の記事でも書きましたように、現在(2018年12月)上野ではこの『フェルメール展』(上野の森美術館)、『ルーベンス展』(国立西洋美術館)『ムンク展』が同時期に開催されていて美術ファンにはたまらない時期となっています。
その中でも最も人気のあると言ってもいいのが今回の『フェルメール展』ですね。
あまりの人気のために入場制限を設ける初めての取り組みとして入場を“日時指定”されたチケットを、前売りで購入するシステムをとっています。
2008年に都美術館で開かれた『フェルメール展』では当時の最大観客動員数をほこり、2、3時間待ちが当たり前のような状況があったため、その緩和策との事なのでしょうが。
しかもお値段が何と大人一人2500円!
通常こうした企画展は15~600円が相場ですので何ともお高い入場料ですが、それでも客が来ると踏んでのことなのでしょう。実際管理人が行った平日にも関わらず多くのお客さんがいらっしゃっていました!
無料で音声ガイドを貸し出してくれるのですが、管理人などは通常音声ガイドを使わないのでなんとも高いな~というわだかまりがあってしばらくは見に行くかどうか悩みましたが…まあ世界に散逸している数少ないフェルメールの作品をこれほど一度に見られることはもうないだろう(多分)と心を決めていってきました。
さて2500円の価値はあったのでしょうか?
会場に入ると全員無料で音声ガイド(by石原さとみさん)が貸し出される。
目次
フェルメール展① 【展覧会概要】
会場: 上野の森美術館 東京都台東区上野公園1-2
会期: 2018年10月5日(金)~2019年2月3日 〔休館日:12月13日(木)〕
(大阪会場は2019年2月16日(土)~5月12日(日))
開館時間:9:30~20:30 ※1月1日(火・祝)~2月3日(日)は9:00~20:30(入場は閉館の30分前まで)
主催:産経新聞社・フジテレビジョン・博報堂ほか
後援:オランダ王国大使館
公式ウェブサイト:https://www.vermeer.jp/
チケット:今展では大変な混雑が予想されるため長時間の待ち時間を作らないために「日時指定入場制」となっており事前に購入が出来ます。
詳しくはこちらをご覧下さい。 https://www.vermeer.jp/ticket/
問い合わせ:0570-008-035 (9:00~20:00)
会場は下記のように章立てがされていますが、簡単に言ってしまえばフェルメールとフェルメールまでの前振りです。
1~5章でフェルメールと同時代のオランダの画家たちの作品を通して、その時代の概観がつかめるようになっています。
第1章 オランダ人との出会い:肖像画
第2章 遠い昔の物語:神話画と宗教画
第3章 戸外の画家たち:風景画
第4章 命なきものの美:静物画
第5章 日々の生活:風俗画
第6章 光と影:フェルメール
フェルメールの作品は最後の『フェルメール・ルーム』に一列に並べられ、場所も広くとってあります。
観客が列を作って順に見ていくというのではなく、どこでも空いていそうな作品を選んで見ていくようになっていますので、気に入った作品は何度も見返すことが出来ました。
あと入場者には無料で音声ガイドと、このようなすべての展示作品について解説が書かれた小冊子がもらえます。
フェルメール展② フェルメールってどんな人?
もうこれは美術ファンでなくてもおなじみですね。
世界中で愛されるゴッホと並ぶオランダ絵画を代表する17世紀の画家です。
テレビでもこの展覧会に合わせてフェルメールの特番が色々組まれていますので、それらをご覧になった方も多いと思います。
このブログでもすでに取り上げていますので、おさらいや復習を兼ねて、また実は名前は知っていても、実は良く知らないと言う方も、こちらで予習がてらご一読いただければと思います。
⇒【“静謐な光の画家”フェルメールの生涯と作風をご紹介します!】
フェルメール展③ 見どころ
今回の展覧会の見どころは何といっても世界に35点しか現存しないと言われるフェルメールの作品の内、8点(展示替えを含むと9点)が同時に見られるということにつきますね。
日本美術展史上最多ということですが世界的にも珍しいのではないでしょうか。
展覧会場はさすがにフェルメールの8点だけではもたないので、前半フェルメールが活躍した同時代のオランダの画家たちハブリエル・メツ―、ピーテル・デ・ホーホなどの作品が50点ほど並んでいます。
音声ガイドや壁の説明書きで17世紀オランダの状況が分かるように説明されています。
この時代はオランダが世界一の海洋国として世界の海をまたに掛けた貿易で最も繁栄を誇った時代です。
この時代日本はというと江戸時代。ご存知の通り日本が鎖国中に、ヨーロッパで唯一長崎の出島を通して交易が許された国がオランダだったということからもその時代のオランダの凄さが分かりますね。
フェルメールのこの絵ではなんとこの男性は日本から輸入された着物を羽織っているのです!
※注)今回は出品されていません。
当時のオランダは“絵画の黄金時代”と言われるほど国の繁栄を背景に美術市場が活況を呈した時代で、今回出品されている作品からもそうした時代の空気が伝わります。
日本では浮世絵や金箔屏風を描いていた時代、オランダではリアルで細密な表現がされていたなど比べてみるのも面白いですね。
会場最後の部屋が『フェルメール・ルーム』となっていて、今回出展されたフェルメールの作品が一列に並べられています。
今回出展されているフェルメールの作品
フェルメール展④ 私的感想
最期の『フェルメール・ルーム』にたどり着くまでが会場が狭く、とても込み合っていたのが残念でした。
上の方でフェルメールの前振りと書きましたが必ずしも悪い意味ではなく、風景画、静物画、風俗画などそれぞれ目を引く良い作品がありました。
そして本命のフェルメールの作品はやっぱり奇麗でしたね。
良い作品というのはサイズに関わらず、じ~っとその世界に見入ってしまいます。
特にフェルメールの作品は“静謐”という言葉がぴったりと当てはまる静けさが魅力です。
ほとんどが同じ部屋(アトリエ)で制作されたと言われるように、そのどれもが北側の窓から差し込む柔らかな光と影によって何とも言えない空間を作りだしています。
柔らかな光を受けて静けさが漂う部屋で日常の場面にここまで感度させる魅力はやはりフェルメールならではでした。
特に僕たち日本人にはこの“北側の窓から差し込む光”が“障子越しの光”と通じているようで、そんなところにも日本人に人気があるのかなと思いました。
また何気ないように見える様々なモチーフたちが実は計算されつくして画面に謎や物語性を持たせ深みを与えています。
フェルメールに限らず当時のオランダ絵画には、それぞれのモチーフには何らかの意味や象徴が込められていて、それらを読み解くまさに“読む絵画”でもあったのです。
残念だったのはやはり作品との距離ですね。
作品サイズが小さいものが多いのもフェルメールの特徴なのですが、それをじっくり鑑賞するにはもうちょっと近くで見せてほしかったです。
「あの繊細な表現をもっと近くで見たい」というのは混雑した会場ではやはり限界があるのでしょうが…
残念なところはありましたが、作品数も少なく入場客数は日時指定ということでそれほど混雑せずに時間をかけてフェルメールを味わうにはとても良かったと思います。
フェルメール展 まとめ
正直最初は入場料は高いし、チケットは日時指定で前もって購入しなければいけないし(実際は会場でもチケットは販売されています。+200円かかります。)コンビニにチケットを受け取りに行かないといけないし、、と面倒が多くて見に行くか迷いましたが、やはりこれだけのフェルメールを一度に見られるのは価値があり実際良い作品ばかりだったので見に行って正解と言えますね。
開催期間はちょうど折り返しのあたりですが、まだご覧になっていない方や迷っておられる方は、一見の価値ありと思いますので是非足を運んでみてはいかがでしょうか。
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・”静謐な光の画家”フェルメールの生涯と作風をご紹介します。
・『写真のような絵画』フェルメールの技法の秘密を解説します。
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