こんにちは。管理人の河内です。
この2,3年はやはりこのコロナ禍で大規模な美術展が見られる機会が減っていますよね。
特に海外作品は渡航制限や作品を借りる相手先の感染状況などもあると思いますが美術ファンとしても寂しい限りです。
そんな中、この春東京に管理人の大好きな画家、ミロがやって来ました!
日本の美術界では近年の「写実ブーム」と相変わらずの「印象派」や「フェルメール」人気に押され、こうした抽象的な作品を見る機会が本当に減っていました。
私が画学生だった25~30年前は、むしろ抽象画やポップアートなど前衛的な現代美術展の方が圧倒的に数も多く、海外の気鋭作家が紹介されることも多かったのですが最近ではほとんどお目にかかることがなくなりました(;´Д`)
その頃すでにミロはピカソ同様古典とすら言える画家となっていたのですが、本当に素晴らしい作品というのはいつまで立っても感動を与えてくれますし、今だからこそなのかもしれませんが新鮮で純粋な美術の喜びを与えてくれる、特にミロはそういう作家だといえますね。
今回はそんなミロの20年ぶりの大回顧展を見てきましたのでご報告してみたいと思います。
目次
今回の『ミロ展-日本を夢見て』の概要は以下の通りです。
【会場】 Bunkamura ザ・ミュージアム (東京都渋谷区道玄坂2-24-1)
【会期】 2022/2/11(金・祝)~4/17(日)
(休館日2月15日(火)、3月22日(火))
開館時間: 10:00-18:00(入館は17:30まで)
毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)
※金・土の夜間開館につきましては、状況により変更になる可能性もあり。
予約等詳細や、最新の開館状況は展覧会公式サイトをご確認ください。
【入場料】
一般1800円(前売1600円) 大学生・高校生1,000円(前売800円)中学生・小学生700円(前売500円)
※注)会期中すべての土日祝および4月11~17日は事前のオンラインによる入場日時予約が必要です。
https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/22_miro/topics/nichiji.html
主催: Bunkamura、東京新聞、フジテレビジョン
問い合わせ先:050-5541-8600(ハローダイヤル)
公式アドレス https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/22_miro/
日本国内では20年ぶりとなる待望の大規模回顧展です。
ピカソと並ぶ20世紀スペインの巨匠ミロ。
故郷への深い愛情を持つ画家として知られていますが、実は見本文化にも深い造詣があり、今展では日本とのつながりにスポットを当てています。
ヨーロッパを席捲したジャポニズムの嵐に若きミロも強い影響を受けた初期の作品から代表作までを展示。
56年ぶりに来日するマドリードの傑作《絵画(カタツムリ、女、花、星)》や、ミロ愛蔵の日本の民芸品、さらに詩人で批評家の瀧口修造との交流を示す多彩な資料などを4つのポイントでたどっています。
ジョアン=ミロ。 ピカソとともに20世紀スペインを代表する最も多彩で大きな影響力をもった画家。
ミロは1893年、スペインのカタルーニャ地方バルセロナに生まれました。
父は金銀細工師兼時計屋、祖父は鍛冶屋という職人の家系に生まれました。
ミロは幼いころから画家を志していましたが、父はミロの希望を聞かず簿記係の仕事に就くことを強いました。
希望を失ったミロは体を壊し精神衰弱に陥り、タッラゴーナ近郊のモンロッチで静養します。
その後1919年、26歳の時にパリに出て当時前衛だったピカソやシュルレアリズムの画家たちと出会います。
その影響を受けつつも次第に独自の世界を展開。興味の沸くまま天性のユーモア感覚をもって自由な表現を追求。
伝統的な絵画の範疇にとどまらず壁画や版画、焼き物、彫刻など様々な表現を試み20世紀の画家たちに多大な影響を残しました。
今回会場となったのは東京・渋谷の東急文化村にあるBunkamura ザ・ミュージアム。
平日午前にも関わらず多くのお客さんが来場していました。
展示の流れは次の通り。
Ⅰ日本好きのミロ
Ⅱ画家ミロの歩み
Ⅲ描くことと書くこと
Ⅳ日本を夢見て
Ⅴ二度の来日
Ⅵミロの中の日本
ミロのアトリエから
といったセクションに分かれています。
まず入口から。
「Ⅰ日本好きのミロ」では初期の油絵「アンリク・クリストフル・リカルの肖像」や「花と蝶」
「「シラウナ村」など初期の油絵とミロが当時熱愛した浮世絵などが展示されています。
実は管理人が個人的に一番好きなミロのスタイルがこの頃のモンロッチをテーマとして、シュルレアリスムの影響を受けていた時期(↓こんな感じの作品)なのでここでもっと作品のボリュームが欲しかったところです、残念(T_T)
そして「Ⅱ 画家ミロ」、「Ⅲ 描くことと書くこと」では抽象化した人物や生物などと日本の書からの影響やカリグラフィックな鋭い線、鮮やかな色彩を使ったいわゆる「ミロらしい」作品が並びます。
続く「Ⅳ 日本を夢見て」「Ⅴ 二度の来日」のコーナーでは戦後ミロがようやく来日を果たした当時(この時ミロはすでに73歳でした)の写真や資料、詩人で批評家の瀧口修造らとの交流の資料、当時の出版物などを展示。
ミロの絵画というよりも焼き物やミロが表紙デザインした雑誌、草稿、リトグラフ(ポスター)などが多く展示されています。
そして「Ⅵミロの中の日本」では来日後それまで以上に日本への影響を色濃く反映した作品、特に実際の書家から得たインスピレーションは大胆な墨を使い、生き物のようなダイナミックな線など色濃く反映した作品が並んでいました。
そして最後の「ミロのアトリエから」では、実際のマジョルカのミロのアトリエの巨大な写真とミロが所蔵していた日本の民芸品が展示されています。
実はミロは、管理人が芸大を目指していた浪人時代、最も影響を受けた画家のひとりであり、私自身の作品の転機を与えてくれた個人的に思い入れの深い画家でした。
なので今回はいつもより期待値が大きかったのでそれを差し引いても、個人的感想をはっきり言うと「物足りなかった!」というのが本音です。
特に前述したように初期のシュルレアリスムの影響を受けていたい頃の作品は少なかったのもありますが、作品の絶対数が少なく、さらに所蔵者の欄を見てみると展示作品のほとんどが日本国内の美術館から集められていて海外の有名美術館が所蔵する代表作がほとんどありませんでした。
その理由としてはもちろん海外との往来が厳しく制限されているコロナ禍であるといいうことは言うまでもありませんが、コロナの影響がこんなところにも出ているんだなと悲しい気持ちにもなりました。
その代わりといっては何ですが資料的なものが多く展示されていて、あまり知られていなかったミロと日本のつながりについての発見は知的興味という意味では楽しかったです。
やはり久しぶりのミロ展ということもあり、これぞミロ!と唸る作品をもっと見たかったというのが本音ですね(;^ω^)。
いかがでしたか?
今回は現在開催中の「ミロ展」についての報告と個人的感想を書いてみました。
展示数としては物足りなさは残りますが、展示されている作品自体は面白かったですしコロナの影響で展覧会が減っている今、美術館応援という意味でも少しでも美術館に通ってみてはいかがでしょうか。