こんにちは。管理人の河内です。
今回は前回に引き続き「美術の歴史を勉強しよう」というお誘いの記事になります。
まだ前半をお読みになっていない方は、そちらからご覧ください。
今回は管理人のお勧めする長い美術史の中で特に興味深い時代を取り上げてみたいと思います。
目次
ではここで取り立ててお気に入りの作品がない方のために、管理人お勧めの時代をご紹介したいと思います。
それはズバリ『ルネサンス(14~6世紀のイタリア)』と『19世紀~20世紀前半』ごろです。
その理由は、日本史に置き換えてみると分かりやすいのですが、日本史で特に人気があるのが戦国時代と明治維新期です。
これはNHKの大河ドラマを見れば一目瞭然ですよね。
長い大河ドラマの歴史の中で、この二つの時代は主人公を変えながらくりかえし取り上げられています。
その理由は、やはり時代の大きな転換期に多くの英雄や天才たちが登場し、時代に翻弄されながらも一人の人間として苦悩したり成功したりする複雑な人間ドラマに魅かれるからではないでしょうか。
だとするならば、西洋美術史上の大きな転換点、群雄割拠ともいえる時代、それがルネサンスであり、激動の明治維新に当たるのが、印象派が登場した19世紀から20世紀前半に当たるといえます。
ルネサンスとは、14世紀にイタリアから始まりヨーロッパ中に広まった芸術文化の一大復興運動の総称で、イタリア語の「re- 再び + nascimento- 誕生」=Renascimentoのフランス語読みです。
14、15世紀のイタリアは、それまでの中世と呼ばれる教会と神が絶対的に人々を支配していた時代から、人間中心の社会を目指そうとした時代でした。
具体的には毛織物業や銀行業など経済の発展と他国(他都市)との交易が進み各地に商業都市が生れていきました。
その代表がフィレンツェやシエナ、ヴェネツィアといった都市国家です。
ローマ教会は依然として大きな力を持っていましたが、これらの都市では貿易などによって巨万の富を得た商人や貴族の台頭し、共和制を布いて社会には自由な空気が生まれました。
豊かになった都市の市民たちは、神中心の考えから自分たち人間中心に世界をとらえるようになります。そして豊かな富を使って芸術文化を保護し発展させようと、それまでキリスト教一辺倒だった美術の世界にも古代ギリシャ・ローマの輝かしい文化を蘇らせようとしたのです。それがいわゆる“文芸復興”=ルネサンスです。
裕福な市民や貴族をパトロンとして、各地から優れた才能をもった芸術家や職人が集まりそうした中からボッティチェッリ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロなどが登場したのです。
一方19世紀後半のフランスは、前世紀のフランス革命を経てナポレオンの台頭と周辺諸国の戦争、帝政と共和制を行ったり来たりする混乱の時代でした。
18世紀にイギリスで起こった産業革命の波がフランスにも押し寄せ工業化が進む中、ナポレオン3世の治世下で鉄道網が整備され産業が発達しパリの大改造が進みます。
そして新たに富裕なブルジョア階級が生まれる一方で、労働者階級との格差が拡大し社会主義運動の兆しが芽生える時代でもありました。
そんなパリの街にヨーロッパ中から芸術家が集まり一大芸術都市となっていきます。
パリに集った若い芸術家たちはこうした社会の劇的な変化によって生まれる社会問題を作品に描き出しました。
いかがでしょうか?
美術がいかに歴史とともに変化する、いや歴史を映す鏡として切っても切れない関係にあることがお分かりいただけたでしょうか?
もう一つ管理人お勧めの勉強法は、ヨーロッパでこの絵が描かれた時代、日本はどんな時代だったのだろうか?など歴史を横にたどって見る方法です。
例えばギリシャ文明が花開いた紀元前400年ごろと言えば、日本ではまだ縄文時代だったと知ると結構驚きですよね。
人気のフェルメールなどは、17世紀に活躍しましたので日本は江戸時代。
鎖国中の日本がヨーロッパで唯一交易していたのがフェルメールやレンブラントのいたオランダでした。
そしてこのフェルメールの絵、実はこの男性が着ているのはなんと日本から輸入された袢纏なのです。
またこの時代の日本は、キリスト教が弾圧されていた時代でしたが、それをテーマにした映画遠藤周作原作の名作『沈黙』をご存知でしょうか?
巨匠マーティン・スコセッシが監督をしたことでも知られていますのでご覧になられた方も多いと思います。
この映画の最後にオランダからやって来た商人が登場するシーンがあるのですが、彼らの衣装がまさにレンブラントの描く人物たちそのままで吹き出しそうになりました。
このように歴史を勉強するというと、時系列で縦に見ると思われがちですが、横のつながりも見てみるとさらに興味深いことが見えてきますし、実際歴史とは一本の筋道に沿っているわけではなく、網の目のように絡み合っていることを考えればそちらの方がリアルな気もします。
ビジネスマンの方にも美術愛好家の方はいらっしゃると思いますが、それはゴルフや音楽と同じように余暇を楽しんだり趣味として美術館にいったりして楽しまれているということだと思います。
しかし昨年、管理人は本屋さんでこんな本を見つけました。
2017年にダイヤモンド社から出版された木村泰司さんが著された『西洋美術史』の帯にはこんな謳い文句が書かれています。
「世界のビジネスエリートが身に着ける教養」「美術史を知らずして世界とは戦えない」
なんとも重々しい文言ですね。
なかなか日本では“ビジネスマン”と美術史なんて結びつかない感じがしますが、この本を読むと実際、世界で活躍する西洋のエリートたちにとって美術の歴史を学ぶことは必須教養のひとつのようであるそうですが、日本のビジネスマンはいかがでしょうか?
最後に西洋美術史び流れを全体で勉強できるお勧めの本をご紹介しておきます。
まずは歴史を一通り俯瞰したい方にはお勧めです。
「一番親切な西洋美術史/ 池上英洋著」
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「世界のビジネスエリートが身につける教養「西洋美術史」 / 木村泰司著」
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「鑑賞のための西洋美術史入門 / 早坂優子著」
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いかがでしたか?
歴史というと、つい学生時代にやった年代や人名の暗記など辛い経験を思い出されてしまう方も多いかも知れません。
そうした方はいわゆるお勉強ではなくて、興味のある絵や好きな画家の生きた時代から少しずつ歴史を覗いていくのが一番だと思います。
ひと昔前までは、歴史好きといえば中高年男性が多かった(管理人もその一人ですが…(^^;))のですが、最近は“歴女”という言葉があるように若い女性にも歴史好きの方が増えています。
そうした方はゲームキャラクターや小説、アニメの世界から歴史に興味を持つ方が多いと聞きます。
学者のように知識を得ることが目的ではありませんので入り口は固い“お勉強”でなくて身近で入りやすいところから入りより美術史の世界に親しんでいただければと思います。
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