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『農民画家』ミレーの代表作をご紹介します。

こんにちは。管理人の河内です。

「農民画家」と呼ばれた19世紀バルビゾン派の巨匠ミレーは、その死後すぐに日本にも紹介された人気の画家です。なので皆さんも美術の教科書や、広告などで一度は目にされたことがあると思います。

そのため海外の巨匠では珍しく、日本国内にも数多くの代表作が所蔵されているほどなじみの画家でもあります。

この記事では、そんなミレーの代表作を解説していきます。

 

「晩鐘」

1857年頃 オルセー美術館蔵

ミレーの出世作です。

ジャガイモ畑で一日の農作業を終えた農民の夫婦が、教会の鐘の音に合わせて祈りを捧げている場面です。遠くに教会が見えます。

ミレーはこの絵を描くとき祖母の姿を思い描きながら描きました。

「種まく人」以降、夕暮れの表現はミレーの得意とするところとなりオレンジや黄色、ピンクなど様々な色を使い夕焼けに染まる微妙な空の色彩を表現しています。

ミレーの死後、この作品はオークションにかけられ、フランス政府とアメリカの芸術家協会が争い、当時の史上最高額で落札されました。

そしてアメリカに渡った際、公開とともにミレーは絶賛されます。

しかし後年、フランス国民の強い要望でフランスに買い戻されました。

この敬虔な農夫たちにゴッホやシュルレアリスムの画家サルバトール・ダリも影響を受け、「偏執狂的批判活動」で大地に突き立てられた鍬や男の帽子の位置などに性的なものの表現を見出すなどダリ独自の解釈をしています。

 

「種をまく人」

1850年 ボストン美術館蔵

聖書のヨハネ伝で、キリストが自分を「麦(信仰)の種」に喩え、神を信仰という「種」を蒔く人に喩えた話を絵画化した作品です。

神が一つの種(=キリスト)を蒔いたことで信仰が広がったことを農夫になぞらえているのです。

夕暮れの空と大地をバックに浮かび上がるシルエットは、彫刻のような力強さでシンボリックに描かれています。背景は農夫のダイナミックな動きと呼応するように、地面が傾斜してその躍動感を強めています。

ミレーはこの作品で個人を越えて名もない人々を永遠の存在として神格化しようとしました。

ミレーは1850年に2点の同構図の絵を描いています。

現在はアメリカのボストン美術館、もう一点は日本の山梨県立美術館に所蔵されています。

山梨県立美術館所蔵作は、X線調査の結果、下に別の絵が描かれており古いキャンバスを使用していることから、第2作目だとされています。

どちらの作品がサロン出品されたかはいまだに論争中。

ボストン作品は輪郭がはっきりしてより人物画シンボリックに理想化されており、山梨作品は土臭い現実的な農民像として描かれています。

 

 

「落穂拾い」

収穫後の畑で刈り残した稲穂や穀物を拾う女性たち。

彼女たちは、実は他人の畑の落穂を拾い集めているのです。

聖書に「落ちた穂は取ってはいけない」との記述があります。落ちた穂は、在留異国人や、みなしご、やもめの者たちの為に分け与えなさい、という事を言っていて、古くから貧しい人々に許された権利でした。

サロンに出品されると、保守的な批評家たちからは「貧困を誇張している」「社会主義的だ」などと批判を受けました。

 

「ポーリーヌ・V・オノの肖像」

1841-43年頃  山梨県立美術館蔵

ミレーの最初の妻ポーリーヌの肖像画です。

結婚の5年ほど前からミレーのモデルをしていたようで、彼女の肖像画が複数残されています。モナ=リザを思わせるポーズをした穏やかで愛らしい表情に、ミレーの愛情が感じられます。

 

 

「母親の心遣い」

1857年 ルーブル美術館蔵

玄関先(?)で用を足す子どもの世話をする母子の絵です。

ミレー本人も子どもが多く、優しい父親の目線で描かれた暖かな作品です。

「落穂拾い」や「晩鐘」などが記念碑的大作であるのに対し、ミレーは同じ農民を題材に「家庭情景の画家」としての一面を示す親しみやすい小品も描いています。ミレー独特の柔らかく丸みを帯びた人物の輪郭で、ほのぼのとした愛情が込められた作品です。

 

 

 

「鏡の前のアントワネット・エベール」

1844~45年頃 村内美術館蔵

 

著名な出版社にして古銭学者のフェリックス・フォルダンの妻の連れ子を描いた作品です。フォルダンとミレーは親交が厚く、ミレーの妻ポーリーヌが結核でなくなった際も、ミレーを多方面で支えました。

化粧鏡を覗き込むあどけない少女の表情を、父親のような目線で描いた優しさが伝わる作品です。(実際、ミレーには6人も娘がいました)

1840年代前半のミレーは、明るく柔和な色彩と軽快なタッチで後年「華やかな手法」と呼ばれる表現を好んで使っており、18世紀のロココ調やスペインのベラスケスなどの影響が強く出ています。


 

「犬を抱いた少女」

1844~45年個人蔵

フラゴナールやゴヤの絵を想起させる愛らしい作品で、「華やかな手法」と呼ばれていた時期を代表する作品です。

モデルが誰なのか、詳細は分かっていませんが、顔が似ていることからフェリックス・フォルダンの妻の連れ子のアントワネットの妹という可能性が指摘されています。

 

「ミレー夫人の肖像」

1844年頃 村内美術館蔵

最初の妻ポーリーヌを亡くし、シェルブールに戻ったミレーが結婚した二人目の妻カトリーヌ・ルメールの肖像。

出会った当時はまだ18歳で貧しい農家の出で家政婦をしていました。

同じ農家でも格式あるミレーの実家からは、彼女との再婚を強く反対され、正式な入籍は長い同棲生活の後、祖母や母の死後1851年になってからのことでした。

駆け落ち同然でミレーとパリに出て、苦しい時代を支えました。

この作品を描いたのは「華やかな手法」の次期にあたりますが、この作品では華美な理想化はせず実直な写実表現で描かれ後の画風につながるものです。

「羊飼いの少女」

1864年頃 オルセー美術館蔵

羊たちが草を食べている傍で編み物をしている少女。

これもミレーお得意の夕暮れ時を描いた作品です。

1864年のサロンで絶賛を博した作品です。有力な批評家のポール・マンツは、「この静穏な風景の空、優しくバラ色で詩と光に満ち満ちた空」について感動をこめて語りました。

1850年代の空に比べるとずっと明るくなっていますが、詩的で感傷的すぎ「あまりにも安易に人に訴える甘さがある」と批判する声もあります。

 

「夏(ケレス)(豊穣の女神)」

1864-65年 ボルドー美術館蔵

パリの友人で建築家アルフレッド・フェイド―の仲介で、銀行家トマ氏邸の食堂装飾のために描かれた『四季』うちのひとつ。フェイド―からの指定で神話による『四季』が表現されています。

そのほか「春」「冬」は同様にパネルに描かれ「秋」は天井画として描かれました。

ミレー作品の中で最も大規模な作品で、円熟期のミレーが〈古代〉のテーマと本格的に取り取り組んだ貴重な作品です。

夏を豊穣の女神ケレスであらわされることはローマ以来の伝統です。

「四季」は古来擬人化されて描かれることが多いテーマで、これを制作するにあたってミレーは積極的に古典を学び取り入れようとしました。特にこの『夏』ではイタリアマニエリスムの特徴が反映しており、ケレスは太陽に日焼けした堂々とした体躯や衣服の襞の表現などは古代彫刻に倣っていると思われます。

残念ながらミレーの死後、作品は散逸してしまい「秋」を描いた天井画は消失してしましました。

 

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・バルビゾン派の巨匠ミレーの作風と生涯を解説します!

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