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『不可思議な世界!』ダリの代表作を徹底解説!

こんにちは。管理人の河内です。

今回は「シュルレアリスムの奇才」サルバドール・ダリの代表作をご紹介します!

ダリといえば不可思議な超・現実の世界、心の中を写したのか?はたまた夢の世界か?ぜひご堪能下さい。

 

 

ダリ作品① 「窓辺の人物」

1925年 マドリード スペイン現代美術館蔵

初期のサルバトール・ダリは、マドリード美術学校で学びつつ、当時最先端の様々な美術動向から影響を受けて暗中模索しながら身近なテーマを描いていました。

そんな中、1925年に開かれたダルマウ画廊の初の個展ではアングルやピカソなどの影響見て取れます。

ダリの作品は、この個展で幸運にもピカソやジョアン・ミロなど一流の画家たちの目にに留まります。

この作品のモデルは妹のアナ・マリア。妹がカダケスの家の窓からリャーネ海岸を眺めているところです。

普段は海水浴客でにぎわう海岸ですが誰も見えず、静かに物思いに耽っているように見える後姿。さりげない日常的な光景を写実的に描いていますが、すでにダリ独特のぬるっとしたような質感と不穏な空気感が感じられます。

 

ダリ作品② 「記憶の固執」

1931年 ニューヨーク近代美術館蔵

今作はおそらくダリの作品の中でも最も広く一般的に知られている作品ではないでしょうか。

ぐにゃりとチーズのようにとろけたような時計はダリ作品のアイコンにもなっていますよね。

でもほとんどの方がテレビや画集でしかこの作品を見たことがないと思います(実は私も)。

そうした場合、皆さんそれぞれ作品の大きさはどれくらいイメージされているでしょうか?実はこの作品は24.1×33㎝というA4の紙ほどの大きさしかないのです。

その小さなキャンバスに、細密にリアルに描かれた不思議な世界。

舞台となっているのはダリ作品に何度も登場する故郷の砂浜。

魚なのか胎児なのか判別不能な物体が中央に横たわり、そこに柔らかな時計が乗っています。

時計の細部や画面左端の懐中時計にたかる蟻などは非常に写実的で細密に描かれています。

ダリはこの柔らかい時計を、妻のガラがカマンベールチーズを食べているのを見て思いついたといいます。

またアインシュタインの「相対性理論」が提示した「時間のゆがみ」という概念を視覚化し、長さや前後関係が歪んで入り乱れる夢や記憶の中の時間を表現しています。

 

ダリ作品③ 「ナルシスの変貌」

1936~37年 ロンドンテートギャラリー蔵

ナルシスは「ナルシスト」の語源となった自分の姿に恋するギリシャ神話の人物。

この絵はナルシスがいつも水面に映る自分の影を見つめているうちに一茎の水仙の花と化した話を踏まえたものですが、ダリ自身の語る神話の世界となっています。

カタロニアでは、鏡ばかりを見ている人を指して「頭の中に球根がある」というそうです。

それは精神分析学でいうところの「コンプレックス」に合致します。人間の頭に球根があれば、やがて花開くと考えられ、この作品では向かって左側の人物(?)の頭は球根に変貌しています。「花開く」という語が「孵化する」に通じるところから、右側の方は四肢が指となるとともに球根が卵になりそこから一輪の花が出現しています。

ダリによればここにはナルシスの死と化石化とがあるといいます。ダリは同じ題名の詩も作っています。

 

 

ダリ作品④ 「たそがれの隔世遺伝」

1933~34年 ベルン美術館蔵

19世紀バルビゾン派の画家ミレーの『晩鐘』を下敷きにしています。

ダリは幼年時代この作品に強く惹きつけられました。しかし彼が魅了されたのは全く違う解釈からでした。『我が秘められた生涯』によると、ダリが幼年時代晩鐘が鳴るとともに『晩鐘』の複製が見えるという体験をしました。「『晩鐘』は私の心に得体のしれない苦悶を生み出した。その苦悶はとても痛烈で、二つの不動のシルエットの記憶が数年間も私を追い掛け回し、絶え間なく意味もわからないままつきまとっては、変わらぬ不安を引きずりだすのだった」ダリはこうした不安と同時に『晩鐘』のシルエットに守護されているような感じを抱きます。大人になってから、それが強迫観念的性格のものであることを悟り、1932年から『晩鐘』を主題とする連作を描き始めた。「ミレーの『晩鐘』の脅迫的イメージの妄想症的=批判的解釈」という文章を書いています。

一連の作品の一つであるこの絵では、強迫観念を軸としてフロイト的解釈を施しています。場所はクレウス岬であり、妻は仮面をかぶり腹を膨らませています。夫の顔は髑髏で下腹部を帽子で覆っています。


ダリ作品⑤ 「欲望の謎、母よ、母よ、母よ、」

1929年 バイエルン州立近代美術館蔵

タイトルはトリスタン・ツァラの詩から引用されています。

多くのくぼみと三つの穴が開いたチーズでできた翼のような形態が描かれています。この形状は、コスタ・ブラーバのクレウス岬にある奇岩に着想を得たものと見られます。浸食されて生じた岩の楕円の窪みや穴が簡略化されて表現されていると見れます。その窪みには「ma mere=私の母」という文字がそれぞれ互恵36個書かれています。

これが描かれたときにはダリの母はすでに他界していましたが、ダリの才能を後押ししてくれた母はダリにとって誰よりも大切な存在で、母の死後は妹のアナ・マリア、妻のガラがダリにとって母親でもあった。

 

 

ダリ作品⑥ 「目覚めの直前、柘榴の周りを一匹の蜜蜂が飛んで生じた夢」

1944年 51×40,5㎝ ティッセン=ボルネミッサ美術館蔵

ダリが戦争を避けて、アメリカにいた時に発表された作品です。

タイトルから察するに、ヌードの女性が今まさに目覚めようとしているのでしょうか?

ポルト・リガトの海と思われる美しい景色がバックに広がり、彼女の見ている夢が描かれています。

柘榴から魚が生まれ、その口から狂暴そうな虎が二匹、女性に飛び掛かろうとしています。異様に足が長く、背中にオベリスクのような岩を乗せた象は、その後も度々ダリの作品に登場するおなじみの生物です。

柘榴はキリスト教において豊穣と復活を意味し、柘榴の上には処女を象徴する蜂が飛んでいます。

フロイトの精神分析学に影響を受け、非合理的な夢の世界を表現した代表的な作品です。

ダリは「この作品にはフロイトが達成した長いストーリーを持つ夢についての発見や、眠っている人を目覚めさせる偶然の出来事の結果を、初めて絵画において描いたものだ」と語っています。

 

 

ダリ作品⑦ 「パン籠 (恥辱よりは死を!)」

1945年 ダリ劇場美術館蔵

パンはごく日常的な食べ物ですが、キリスト教国においては、神の贈り物として、また生命の糧として神聖な存在でもあります。ダリもまたパンを神聖なものとみなしており、また同時にその形状に深い興味を抱いています。キュビズム風の作品を描いていた1926年にも後の細密描写を予告する克明さでパン籠を写実的に描いています。それから20年後に描かれた本作では克明さが増しているとともに妄想症的=批判的表現が活かされているように見えます。ダリはパンについて次のように語っています。「パンは私が初めてフェティシズムと執念を題材として描いたものであり、私が畏敬の念を抱いた最初で最後のものである。私は19年前にも同じような作品を描いた。よく注意して見比べてみるといい。皆さんは目の当たりにするだろう。原始主義から芸術至上主義へと移り変わっていく歴史を」

 

 

ダリ作品⑧ 「十字架の聖ヨハネのキリスト」

1951年 ケビンブローグ美術館蔵

伝統的なキリスト磔刑図といえば、下から見上げる構図が主ですが、ダリの本作では、ポルト・リガ―トの入り江を遥か上空から磔刑のキリストが見下ろす構図で描かれています。

また茨の冠や、打ち付けられた釘、キリストの表情なども描かれず、長髪でもありません。モデルにはハリウッドのスタントマンを使っており逞しい体で描かれています。

ダリは1950年に「宇宙的な夢」を体験しその時に現れた「原子核」をあらわす像が、後に形而上学的意味を持つようになり、それを「宇宙の統一性そのもの」すなわちキリストとみなすことになったと言います。

キリストの腕と体で逆三角形が形作られ、頭部の円形と組み合わさって三位一体を表し、また頭部の円はプラトニックな思考を暗示しており「すべての事象は3で存在するのではなく4である」という意味で統一性を表現しています。

画面下の舟の傍らの人物は19世紀フランスの画家ルイ・ル・ナンの作品から、左の人物はベラスケスの『ブレだの開城』のための素描からとられています。

 

ダリ作品⑨ 「ポルト・リガートの聖母」

1950年 275×271㎝  東京ミナミ美術館蔵

戦後、ダリが古典的手法によって追求するようななった神話的、宗教的主題による作品の最高傑作といわれています。

妻のガラを聖母にみたて、祭壇画のようなシンメトリー(左右対称)の厳かな構図で描かれています。聖母の体と幼子キリストの体は中空で四角い聖櫃となっています。

聖母子を取り巻く様にパン、貝殻、ザクロ、犀など気キリスト教的図像とダリ的な図像が浮遊しているように精密に描かれています。

1949年11月23日、ダリは同名の作品をローマ法王ピオ12世に見せて宗教的絵画として認められました。


ダリ作品⑩ 「最後の晩餐」

1955年 167×268㎝ ワシントン・ナショナルギャラリー蔵

キリスト教最大のテーマの一つ「最後の晩餐」です。

アメリカ人のチェスター・デイルによってナショナルギャラリーに寄贈されました。

「聖体拝受はシンメトリックでなければならない」というダリの考え通りに、キリストを中央に両手を合わせ、頭を垂れている12使徒たちが左右に配置されています。

舞台は近未来的な構造物の中に、伝統的なイエスにある髭がなく若々しく描かれています。

そしてイエスは今にも光に包まれ透けて消えていくようにも見えます。

皆で食事をしていたはずのテーブルには、ワインのグラスと2かけらのパンがあるだけでとてもシンプルです。

衣服の襞やパンのかけらなどが、ダリ特有の緻密でリアルな表現で描かれています。

この作品はキリスト教の物語ですが、12という数字が隠れたテーマでもあります。

12人の使徒、舞台になっている近未来的にも見える構造物は12面体であり、またイエスの指が12を指しているようにも見えます。

この頃ダリは熱心なカトリック教徒でしたが、この作品は様々な解釈を呼び、テーマがテーマだけに伝統を重んじる宗教界からは批判を浴びました。

 

【ダリに関するその他のお勧め記事】

・「シュルレアリスムの奇才!」サルバドール・ダリの生涯と作風を解説します。

・「奇才?天才!」ダリの生涯を詳しく解説します!

・サルバドール・ダリ、その画風と技法をたどる!

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