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『近代絵画の父』ポール・セザンヌの生涯と作品を解説します!

みなさん、こんにちは管理人の河内です。

今回取り上げるのは「モダンアートの父」と呼ばれるセザンヌです。

一般的には『後期印象派(ポスト印象派)』なんていうのに分類されますが、いわゆるモネやルノワールたち本家の『印象派』と違って、グループで同じ方向性で活動したというわけではなく、「印象派」に影響を受け、一時は活動を共にするも、あまりにもアクの強い性格のために独自の進化をした、主に3人の画家をまとめて呼ぶ便宜上の呼び名ぐらいに考えてください。

その3人とはヴァン・ゴッホ、ポール・ゴーギャンそして今回ご紹介するポール・セザンヌです。

ちょっと美術のことを知っている方は、いかにもアクが強いというのがお分かりいただけると思いますが、彼ら3人もお互いに影響し合い、自身の表現に取り入れたりしています。

ゴッホは表現主義やフォーヴィズム、ゴーギャンはナビ派の画家たちの源泉となりました。そしてセザンヌは、3人のうちで最も年長で、前の二人にも大きな影響を与えています。ゴーギャンは、セザンヌがまだ世に認められる前からお金がないくせにセザンヌの作品を買うほど尊敬していました。

そして20世紀美術を革新したといわれる二人の天才ピカソとマチス。この二人もセザンヌの影響を受け、セザンヌなくしては20世紀美術は全く違うものになっていたでしょう。

ピカソ自身「セザンヌが唯一の師だ」と語っているくらいです。

僕も学生時代、恩師たちから耳にタコができるほど「セザンヌ、セザンヌ」「セザンヌを勉強しろ」「セザンヌが分からない奴はダメだ!」と言われたものです。

さてそれほど現代では評価が高いセザンヌ、一般的には「名前は聞いたことあるけど…」ぐらいな人も多いと思います。

今回はそんな「近代絵画の父」ポール・セザンヌについて解説していきます。

 

セザンヌってどんな人?

本名 ポール・セザンヌPaul Cézanne

19世紀後期の後期印象派(ポスト印象派)に分類されるフランスの画家。

続く20世紀の美術に最も影響を与えた画家として、「近代絵画の父」と言われています。

セザンヌの人物像はというと、一言でいえば“偏屈者”“付き合いづらい男”というのが当てはまる人物です。

金持ちで高圧的な父親におびえながら育ったせいか、神経質で怒りっぽく、疑り深い性格でかなり変わり者だったようです。

不愛想で臆病なくせに喧嘩っ早く、他の画家が自分のアイデアを盗もうとしているなどと疑ったり、挑発的な言動をしたりしていたため、サロンからだけでなく画家仲間からもやっかい者扱いされていました。

セザンヌは22歳のときに画家を志して勉強すべく芸術の都パリへ出ます。

当時まだ若い前衛画家たちであった印象派の画家たちと行動を共にした時期もありました。

当時パリでは、マネやドガなど印象派の画家たちは、夜ごとカフェ・ゲルボワに集まり芸術論を戦わせていました。マネなどは当時すでに名の知れた有名画家でしたが、そこでも先輩画家に不躾なことを言ったり不遜な態度でいたようで結局は馴染めませんでした。

セザンヌは、実家が裕福な資産家で、父からの仕送りと、その遺産とで、ほかの画家たちと比べると一時期を除いて経済的に困ることはなく、パリで何としても一旗揚げてやる!という気持ちは薄かったのか、しばらくパリと故郷を行ったり来たりしましたが、中年以降は、パリを引き上げて一人故郷プロヴァンスに籠って制作を続け、黙々と独自の道を歩みました。

初期のころは、エロティックで感情的なロマン主義的な絵を描いていましたが、30歳の時、後の妻となるオルタンスと出会った頃から性的幻想を捨て、風景画へと大きく転換しました。初期の作品↓

パリでは印象派の画家たちとの交流を通して自然を描くことを学びます。

特に印象派の長老カミーユ・ピサロ(↓)からの影響が大きく、印象派の手法を学びます。

その後、セザンヌは独自の手法を模索します。

印象派は見たまま、感じたままをキャンバスに描き留めようとしましたが、セザンヌはモチーフを一旦単純なフォルムに還元し、造形的に再構築して描きました。

いろんな方向からモチーフを見て(多視点)、空間を一度バラバラにして、それらを画面上で再構成するという手法を創出したのです。(これはそのままピカソとブラックのキュビズムに受け継がれます)

そのほか色彩画家としてアンリ・マチスやモーリス・ドニ、ポール・ゴーギャンなど多方面の画家影響を与え、20世紀美術の礎となったことから、セザンヌは後に「近代絵画の父」と称されるようにまでなります。

セザンヌはパリに出て以来、幾度となく故郷の南仏とパリを行ったり来たりしますが、円熟期には妻子と離れてエクスに引きこもってひとり制作に打ち込み、最後は67歳の時、制作中に嵐に撃たれて肺炎を起こして亡くなりました。

 

セザンヌの生涯~ざっくりと

 

セザンヌは1839年、南フランスのエクス・アン・プロヴァンス(通称エクス)で生まれました。

父は帽子製造業で成功した人物で大変裕福な家庭に育ちます。

しかし父は高圧的な人物で、セザンヌはその父におびえながら育ちました。

少年時代に後に有名な小説家となるエミール・ゾラと知り合います。

父の意向で法律を勉強しますが画家を志します。

1861年一度はパリに出て絵の勉強を始めますが、一年で帰郷し、父の経営する銀行で働きます。

始めはロマン派の影響から、暗くて重苦しいエロティックな作風でしたが、特にカミーユ・ピサロの勧めで、戸外で一緒に制作を始め、印象派の影響を強く受けて絵が明るくなる。

パリに出てドガやマネら印象派の画家たちと交流し行動を共にし、第1回、3回印象派展に出品します。

しかし作品が評価されることはなく、またサロンに出品し続けますが落選が続きます。結局はパリになじめず故郷のエクスとパリを行ったり来たりします。

1880年代にはエクスに戻り、後の代表作となるプロヴァンスの風景や静物、人物画を精力的に描く。(規則的な筆触による表現が表れ始める)

43歳で初のサロン入選をはたす。

1886年幼馴染の小説家エミール・ゾラが小説で、自分を中傷しているとして二人は絶交する。

1890年代後半になると次第に評価が高まり、晩年は作品が高値で売れるようになります。

しかし糖尿病や精神的不安定に悩まされ1906年肺炎のため死去。

 

セザンヌの代表作をご紹介します

 

ここではセザンヌの代表作を簡単にご紹介します。詳しい解説はこちらも合わせてご覧ください。

 

「首吊りの家」1872~73年 オルセー美術館蔵

 

「赤い肘掛け椅子のセザンヌ夫人」1877年 ボストン美術館蔵

 

「サントヴィクトワール山」  1885~87年 ニューヨークメトロポリタン美術館蔵

 

「リンゴのバスケット」   1890~94 シカゴ アートインスティテュート蔵

 

「リンゴとオレンジ」  1895~1890年 オルセー美術館蔵

 

「サント・ヴィクトワール山とシャトー・ノワール」  1898年 ブリジストン美術館蔵

 

「アンブロワーズ・ヴォラールの肖像」  1899年 プティ・パレ美術館蔵 パリ

 

「赤いチョッキの少年」   1890~95年 チューリッヒ ピュルレコレクション蔵

 

「カード遊びをする二人の男たち」   1890~92年 オルセー美術館蔵

 

「キュービット像のある静物」   1895年  ロンドン コート―ルド・インスティテュート蔵

 

「大水浴図」  1898~1905年 フィラデルフィア美術館蔵

 

セザンヌの技法について

 

初期の20代の頃は、ロマン派のドラクロワなどの影響もあり、暗い色調で厚ぼったく官能的な作品を描いています。

ドラクロワといえばこの教科書なんかでおなじみの「民衆を導く自由の女神」を描いた人です。

↓ドラクロワに比べると何とも荒っぽく下手っぴです。

30歳になったころから、野外での制作を始め、ピサロとの交友を通して印象派の表現を身に着け色調は明るくなりました。

1878年頃からは、印象派の明るい色彩やみずみずしさを残しつつも、移ろう光を追いかけるだけでなく確固とした存在感を求めるようになります。

かたちの単純化、色彩とタッチによる表現は、いわゆる写実的な再現を越えて新たな絵画を生み出しました。

「絵画は堅固で自律的な再構築物であるべきだ」というかんがえのもと、ものをそれぞれ球、円錐、円柱という最も基本的な形に見立てどっしりとした存在感を求めようとします。

また構図にもいろいろな位置から見る「多視点」を導入し、画面内で再構成する手法を試みます。これが後にピカソやブラックに引き継がれ、20世紀の革新的表現となるキュビズムへとつながります。

 

まとめ

いかがでしたか?

マネや印象派、同じくポスト印象派でと呼ばれるゴーギャンやゴッホなども、美術界に衝撃を与え、後の画家に大きな影響を与えました。しかしそれらは一過性であったり、直線的なものでした。しかしセザンヌが与えた影響は、とても広範囲でその後の美術を決定的に変えました。ピカソ、ブラックはその構成と多視点による再構成からキュビズムを、マチスは色彩効果を、ドニは色面効果をセザンヌから学び発展させました。それは言い換えれば、それぞれセザンヌの一面を取り出したにすぎません。セザンヌはそれらすべての源泉であり、ゆえに彼が「近代絵画の父」と呼ばれているということがお分かりいただけると思います。

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